映画的ドラマ(いわゆるネタ)を排した美しき動きの映画 んー、唸っちゃうような映画でした。悪い意味ではありません。こんな映画撮れるのはおそらくトラン・アン・ユン監督くらいでしょうという意味です。なんて言うんですかね、んー、と唸ってばっかりですが(笑)、まあ、動く静物画とでも言いますか、完全に映画的ドラマを排した美しき動きのある映画です。「青いパパイヤの香り」と「...
クリス・クラウス監督、ナチスと性の問題に切り込む 「4分間のピアニスト」のクリス・クラウス監督です。映画ってラストシーンだなあと思い知らされた映画です。今でも予告編を見ただけで感動して涙が出てきます(笑)。日本公開が 2007年でしたのでもう 10年になりますが、クリス・クラウス監督、IMDb を見てみましても、この間 2010年に「Poll」という映画を撮って...
ぶつ切れで映画にならず エミール・クストリッツァ監督の新作です。「アンダーグラウンド」は、その濃さ(笑)や斬新さにおいてかなりインパクトがありましたが、なぜかそれ以外の映画は見ていないような記憶で、自分自身ちょっと不思議な感じです。エミール・クストリッツァ監督は、ミュージシャンとしても、俳優としても活躍しているとのこと、この映画では主役で出演しています。さらに相...
冒険が犯罪すぎてノスタルジックにはなりにくいが楽に見られて楽しい 少年たちのひと夏の冒険などの言葉を目にしますと、どうしても「スタンド・バイ・ミー」が浮かんでしまい、あの Ben E. King の曲が耳元で鳴ってしまいます(笑)。♫ When the night has come♫ and the land in dark ♫ and the moon i...
吹き出すこと必至!邦題は「ラストタンゴ・イン・パリ」のもじりか? 男女がバスケットコートのようなところで寝っ転がってぐるぐる回るシーンを記憶していいますので前作(前々作?)の「ルンバ!」を見たと思っていたのですが、内容をほとんど思い出せませんのでおそらく予告編の記憶が残っているのでしょう。フィオナ・ゴードン&ドミニク・アベル監督、道化師でもあるとのことです。もちろ...
展開は1作目とそっくり、違いは創造主まで持ち出して行き詰まっていること 最近はほとんど SFを見なくなっていますが、突然「エイリアン」を見てみようと思いたち、あらためて思い返してみますと1作目は1979年公開だったんですね。およそ 40年前ですよ!それが未だにシリーズものとして作られ続けているというのは、単に時代性だけではなく何か人間存在に関わる本質的なものを持...
(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。 カテル・キレヴェレ監督、予告編映像ではこの映画が日本初公開と言っていますが、今回配給がついたという意味でしょう。前作の「スザンヌ」がフランス映画祭で上映され、その後単館系で企画上映されています。「スザンヌ/カテル・キレヴェレ監督」フランス映画ウィークこの「あさがくるまえに」は、随分前に予...
名誉ある撤退は敗北にあらずとEU離脱のイギリスを鼓舞する 「ダークナイト」をDVDで見たような気がする程度にしかクリストファー・ノーラン監督を知りません。見たとしてもおそらくヒース・レジャーが急死する直前の出演作という興味だったように思います。で、何やら漏れ聞こえてくるところでは、この「ダンケルク」はかなり評価が高く、戦争映画としてもやや異質との記事もあり、ヒーロ...
観念が先走っては映画にならない 観念的に作り上げられた映画ですね。テーマがあって、それをどう表現するかと書き上げられた脚本、映画ということです。一概に悪いというわけではないでしょうが、難しいでしょう。特にこういう犯罪ものは観念だけでは成り立たないですよ。むしろリアリティにこだわり抜いた中から何かしら人間存在自体に関わるような、それこそ真理みたいなものがみえて...
(記憶曖昧なネタバレ)スウェーデン産の不思議な母子ものファンタジー ちょっと変わった印象のスウェーデン映画です。物語は、下の引用を読みますと、肉体的ハンディを跳ね返す感動ものや母子ものを思わせますが、確かにそういうところがあるにしても、そのドラマをファンタジーっぽく描いている映画です。リカルドが巨人になった自分を夢想するシーンの印象からというだけではなく、映画の...
綾瀬はるかさんのうまさが光る映画ですかね 原作は、 吉田秋生さんって方の漫画なんですね。そんなことも知らずに、そういえばカンヌのコンペティションに出品されたなあと思い借りてみました。パルムドールが「ディーパンの闘い」の年で、「ティエリー・トグルドーの憂鬱」「五日物語 3つの王国と3人の女」「キャロル」「黒衣の刺客」「山河ノスタルジア」「モン・ロワ 愛を巡るそれぞ...
50年前、デンマークの話であっても、今の日本に思いを馳せる 何だか嫌な映画ですね…、といっても、嫌でも直視しなくてはいけないという意味の嫌ですので誤解なきよう。1967年頃、今から50年くらい前ですね、デンマークはコペンハーゲンの養護施設で実際にあった話をもとに作られた映画だそうです。何が嫌かって、子どもたちへのあらゆる暴力、肉体的暴力、精神的暴力、そして性的暴...
浅野忠信の役作りしない演技が功を奏して 随分古臭いタイトル付けだなあと目につき、公式サイトを見てみましら、原作が重松清さんの小説で、タイトルも原作通りとのこと、重松清さんは10年くらい前に結構ハマって何作が読みましたが、この作品は知りませんでした。1996年、20年前の作品ですか、中途半端に古いですね(笑)。重松清さんって、少年の話が多いですよね。いじめであった...
他人事とは言っていられない日本なのに「君の名は。」でいいのか? 普段どこの国の映画とさほど意識しているわけではありませんが、あらためて考えてみれば、確かに香港映画を見る機会は減りましたね。ここ1年くらいを思い返しても思い当たりません。製作本数も減っているのだろうと調べてみましたら、2015年で59本というのがあります。ウォン・カーウァイ監督の時代(というのは変?...
オリジナル詩篇による、ありふれた日常ではない、詩集のような映画 ニュージャージー州パターソンって何処だろう?と GoogleMap を見てみましたら、マンハッタンから北西へ直線距離で 25kmくらいの町なんですね。https://goo.gl/maps/QBPEXrTADWP2映画では、滝や渓谷のようなロケーションもあり、もっとローカルな印象だったんですが、車で...
イザベル・ユペール自身がポスト・フェミニズムと語る、俳優が監督を越えた映画。 自由な女性の映画です。おそらくそれは、ミシェルを演じたのがイザベル・ユペールであったがためにそうなったのであり、あるいは、ポール・バーホーベン(ポール・ヴァーホーベン)監督にとっては(うれしい?)誤算であったのかも知れません。「犯人よりも危険なのは、彼女だった」というコピー、そうし...
フィリピン スラムのリアリティは異次元の映画だが、その先は… つい最近、フィリピン マニラのスラムを舞台にした「ブランカとギター弾き」を見たばかりですが、スラムのリアリティという点では、この「ローサは密告された」は異次元です。多分ドキュメンタリーを意識しているのでしょう。カメラがかなり動き回ります。それを意識して撮られています。ブリランテ・メンドーサ監督、知りま...
映画はシンプルなのに物語は深い こういう映画を撮ることが出来る長谷井宏紀監督ってどんな人? と公式サイトを見てみましたら、2009年、フィリピンのストリートチルドレンとの出会いから生まれた短編映画『GODOG』では、エミール・クストリッツァ監督が主催するセルビアKustendorf International Film and Music Festival にてグ...
歓びのトスカーナではなく、狂気のはての歓び。 「歓びのトスカーナ」ってタイトルに釣られたわけではありませんが(笑)、こんな映画だったんかい!?それにしても、何とも難しいテーマに挑戦したものです。原題の「La pazza gioia」は、直訳すれば「狂気の歓び」というような意味らしく、pazza は「気が狂った, 頭がおかしい」英語では crazy だとすれば、ネ...
人生相談の母親の台詞が本音なら傑作、でもおおむね駄作 マルコ・ベロッキオ監督、77歳、一体どうしてしまったの!?というくらいの駄作です。ここリード部分に結論を書くことはあまりないのですが、この映画、語ることがほとんどありません。と、公式サイトを見てみましたら、原作があるんですね。それも大ベストセラーとあります。それが本当なら、マルコ・ベロッキオ監督が原作を理解し...