記事一覧

夜明けの祈り

2017.08.11

や行,

実話といいつつ、作られた物語性を強く感じるアンヌ・フォンテーヌ監督、「オーギュスタン 恋々風塵」「ココ・アヴァン・シャネル」「美しい絵の崩壊」「ボヴァリー夫人とパン屋」と聞けば、ああと思い当たるのですが、なぜか一本も見ていません。この「夜明けの祈り」は、マドレーヌ・ポーリアックという女性医師の実話にもとづく物語とのことです。原題の「Les innocentes...

裁き

2017.08.08

さ行,

かなり新鮮ではあるが、何が伝わってくるかといえば微妙久々に「新鮮」さを感じた映画でした。映画の舞台はインド・ムンバイですが、歌も踊りもありませんし、ベタな人情噺もありません。ああ、歌はありましたね。ただ、いわゆるボリウッド・ダンスミュージックではなく、民族楽器を伴奏にしたプロテストソングといいますか、民衆詩人のような人がメッセージ性の強い詩を朗唱するように歌っ...

海辺の生と死

2017.08.03

あ行,

演出意図が裏目か?俳優の存在感が足りず監督:越川道夫、主演:満島ひかりで見に行ったのですが、『死の棘』の島尾敏雄さんと妻島尾ミホさんの話だったんですね。知りませんでした。映画タイトルと同名の原作があるとのことですが、『死の棘』共々読んでおらず、小栗康平監督「死の棘」しか知りません。越川道夫監督は、長くプロデューサーをされており、前作の「アレノ」が初監督作品とい...

獣道

2017.08.01

か行,

漫画的?劇画的?こういう映画はオリジナリティがないと難しい「キラキラではなく、ギラギラした青春群像。実話をベースにした“真っ黒な青春映画”が誕生した。『下衆の愛』の内田英治監督と英国人プロデューサーのアダム・トレルが再びタッグを組み、オリジナル脚本で“地方社会”のリアルを笑いたっぷりに描いた異色作。新興宗教にはまる親、未成年者を取り込む風俗産業、社会保障を食い尽く...

君はひとりじゃない

2017.07.30

か行,

ある意味、今の日本が抱える病理をあぶり出す「Body/Cialo」一昨年2015年ベルリンの銀熊監督賞受賞作がひっそり(?)と公開されています。ひっそりと言うのもなんですが、あまり注目されているようにも見えません。でも、こういう映画がなくなって(見られなくなって)しまうというのも悲しいことで、それこそ、いま日本のメジャーで公開されている「作られたドラマ」、アニメ...

湯を沸かすほどの熱い愛

2017.07.28

や行,

号泣必至の家族ファンタジー夏休みということもあるのでしょう、公開される映画がアニメやら若年層向けの恋愛ものが多く、なかなかそそられるものがありません。そうした中にもきっといい映画があるのでしょうが、見つけ出すのは難しいですね。で、DVD を数本借りました。その1本「湯を沸かすほどの熱い愛」、公開時に見ようかなと思っていた映画ですが見逃しています。湯...

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

2017.07.25

た行,

セルゲイ本人には映画では伝わってこない何かがありそうセルゲイ・ポルーニンが突然ロイヤルバレエ団を辞めると言い出したというニュースは記憶しています。それ以前からあれやこれや問題児と言われていたとも報じられていましたので、その時は、ふ~ん程度にしか関心はなかったのですが、下の引用の写真のダンスが予告編で流れており、へー、すごいね、もったいないなあと思ったわけではあり...

ハートストーン

2017.07.23

は行,

ラストのカサゴがかすかな救いでも、子どもたちの見る希望なき世界アイスランド映画です。最近では、「ひつじ村の兄弟」と「馬々と人間たち」を見ていますが、どちらも辺り一帯知らない者のいないような狭い地域の人間模様がテーマでした。この映画もそうした生活環境は同じようなものですが、物語は思春期を迎えた少年少女たちの話です。グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督は...

オリーブの樹は呼んでいる

2017.07.20

あ行,

寓話的趣きのあるシンプルで過剰さのないいい映画でした監督のイシアル・ボジャインさん、この映画で初めて知りましたが、スペインではかなり名の通った方のようです。脚本のポール・ラバーティさんは、ケン・ローチ監督の映画で名前を見る程度には知っている方ですが、あらためて IMDbを見てみましたら、1996年の「カルラの歌」以降「私は、ダニエル・ブレイク」まで、ほぼ全てとい...

アリーキャット

2017.07.17

あ行,

窪塚洋介×降谷建志は面白く、端役でも柳英里紗は高評価窪塚洋介さんは魅力的な俳優ですね。やや影のある危なさでしょうか。ただ、結構見ている割には、印象に残っている映画は未だに「ピンポン」あたりか、TVドラマでいえば「池袋ウエストゲートパーク」、最近見た「沈黙‐サイレンス‐」のキチジローは、うまく使ってもらっていないからなんですが全く良いところがなかったです。地の...

作家、本当のJ.T.リロイ

2017.07.12

さ行,

著作を読んでみたくなります 「サラ、いつわりの祈り」「サラ、神に背いた少年」「J.T.リロイ」ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」の脚本、そしてまた「サラ、いつわりの祈り」の原作者と言われてみれば、あの頃漠然と見知っていたかもしれないと思うほどには知っているのですが、あらためて、ああ「J.T.リロイ」とはこういうことだったのねとよくわかりました。下の写真...

ボンジュール、アン

2017.07.10

は行,

アメリカ人にはこれが典型的なフランス人なのかな?監督のエレノア・コッポラさんは、その名前のとおりフランシス・フォード・コッポラさんの妻、そしてソフィア・コッポラさんのお母さんになります。映画界でのという意味ではその存在を知りませんでしたが、「地獄の黙示録」の制作現場の裏側を撮影したドキュメンタリー「ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録」でエミー賞を受賞して...

しあわせな人生の選択

2017.07.04

さ行,

私は死にますと言われた周りの人間は大変だという話?最近では、邦題にいかにもベタな「しあわせ」とか「人生」とかが入っているのに、原題はまったくニュアンスが違う映画はきっといい映画に違いないと分かるようになってきました(笑)。この映画の原題は「Truman」犬の名前です。当たりと言えば当たりの、何とも微妙ではあるのですが、まず日本では撮れないだろうと思える大人の味...

残像

2017.06.28

おすすめ映画, さ行,

アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です見終わって帰る足取りが重くなりました。これ、映画としてはもちろん褒め言葉、内容的には、何というのでしょう、むちゃくちゃ重いシーンがあるとか、ドーンと心に響く(響きますが…)とかではなく、そうですね、過去の出来事だとか、他の国のことだとかと距離を取って見られない空気を今の日本に感じるからということかもしれません...

ありがとう、トニ・エルドマン

2017.06.25

あ行,

全裸パーティーの意味するもの、そしてラストカット「ジャック・ニコルソンが自ら名乗りを上げ、ハリウッド・リメイクが決定!!」というドイツ映画なんですが、この映画をハリウッドでやってどうしようというのでしょう?もう少しスッキリしたコメディタッチの親子ものにはなるんでしょうが、むしろそんなネタならハリウッドにはゴロゴロしているような気がします。むしろそうしたありふれ...

セールスマン

2017.06.22

さ行,

アスガー・ファルハディ監督、「別離」がピークだったかも?昨年のカンヌで男優賞と脚本賞、今年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞しています。「彼女が消えた浜辺」から見ていますが、どの映画も評価が高く、何かしら賞を取っているアスガー・ファルハディ監督です。私の評価は、映画の完成度でいえば「別離」、個人的趣味でいえば「彼女が消えた浜辺」なんですが、さてこの「セールスマ...

トトとふたりの姉

2017.06.20

た行,

大人たちの身勝手さが際立つ映画だが、子どもたちが同じ大人にならない保証のない世界公式サイトから引用しますと、この映画は、「世界各国の映画祭で上映され、本国ルーマニアではアカデミー賞・最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞。まるでドラマのよう、けれど本作は現実の世界を映したドキュメンタリーだ。」ということで、これ、本当にドキュメンタリー? ドラマじゃないの? と思う...

20センチュリー・ウーマン

2017.06.16

英数字, 数字

1979年の(アメリカの)女性たちはどう生きたのか?という映画ですマイク・ミルズ監督って、ミランダ・ジュライ監督(?)の夫なんですね。知りませんでした。マイク・ミルズ監督の映画、初めて見ましたが、ん?「サムサッカー」見たかな? という程度の知識や印象ですが、こういう映画を撮る人なら、結婚はともかく、二人は意気投合したんだろうなあと感じさせる作風です。この映画、...

海辺のリア

2017.06.13

あ行,

仲代達矢さんありきの映画なんですが、リアであるべきであったかどうか…日本国内よりも世界で評価の高い、その多くはヨーロッパなんですが、映画祭で受賞したり特集が組まれたりする映画監督がいます。小林政広監督もそのひとりです。ウィキペディア本作で長編16作目、詳しく調べたわけではありませんが、多分すべて自主制作的な作り方で撮っており、大手の映画会社からは独立しているので...

ザ・ダンサー

2017.06.11

さ行,

主役のソーコ Soko がいいです。で、リリー=ローズ・デップはどうでしょう?バレエやコンテンポラリー・ダンスについては多少の知識はありますが、ロイ・フラーさんという方は知りませんでした。公式サイトに「モダン・ダンスの祖」というコピーが使われており、え? イサドラ・ダンカンじゃないの? と、やや疑問を感じたんですが、映画の中にはしっかりとイサドラ・ダンカンが出て...