記事一覧

裁かれるは善人のみ/アンドレイ・ズビャギンツェフ監督

2015.12.03

さ行,

もうそろそろ神は在るかなどという不毛な問いには終止符を打ちましょうよネットに「おそロシア」という言葉がありますが、この映画、そのまんまですね。それにしても一体いつの時代?と言いたくなるような設定で、いくら地方とはいえ、ロシアには今でもこんな地域があるのでしょうか?もちろん程度の差こそあれ、似たようなことはどの国にだってあるとは思いますが、それにしてももう少しメ...

ローマに消えた男/ロベルト・アンドー監督

2015.12.02

ら行,

映画の本筋からは離れますがあんなに簡単に心変わりする大衆ってそれが皮肉であればいいのですがいきなり大仰な音楽に、3人の男女が大理石の床に靴音を響かせながら歩いてきます。女性の首から胸にかけての蛇のタトゥーがかなりのインパクトです。初老の男はやや疲れ気味の様子(と後から考えればの話)で大きな音(効果音)を立て鞄を床に置き靴紐を直します。そして男はトイレに行きたいと...

バードピープル/パスカル・フェラン監督

2015.12.01

は行,

人間みんなバードピープルですよ。予告を見た印象ではもっとファンタスティックな映画かと思っていましたら、結構シリアスで、ちょっと不思議な感じの映画でした。ファンタジーをイメージしたわけは、主役の役名がオドレイで、演じているのがアナイス・ドゥムースティエときていて、似ているわけではないのですが、なんとなく「アメリ」のオドレイ・トトゥが浮かんでしまい、きっとアナイス...

ヴィヴィアン・マイヤーを探して/ジョン・マルーフ監督チャーリー・シスケル監督

2015.11.30

あ行,

写真に興味をもつのは当然だけれど、ナニーという職業にもヴィヴィアン・マイヤーさんが現代に生きていたら、自分の写真をネットで公開したんでしょうか?つまり、たくさんの人に見て欲しいと思っていたけれど方法がなかったのか、単に趣味として撮っていただけでそもそも人に見せる考え自体がなかったのか、あるいは社会的に写真家という存在が認知されていなかったのか、という意味での疑問...

シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語/カアン・ミュジデジ監督

2015.11.26

さ行,

これはどうも少年と犬の話ではなく馬鹿な大人の話のようだこのところ何やかやと話題になるトルコですが、映画で言えば、最近では「雪の轍/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督」を思い出します。ロケーションはカッパドキアでしたが、内容はトルコっぽさ(よく知りませんが)はあまり感じられず、どちらかと言いますとヨーロッパっぽい視点の映画でした。それに比べますとこの「シーヴァス」には土...

コードネーム U.N.C.L.E./ガイ・リッチー監督

2015.11.24

か行,

あのナポレオン・ソロがティモシー・エベレストとジョージ・クレバリーを身につけ帰ってきた!「0011ナポレオン・ソロ」懐かしいですね! あらためてググってみますと、TV版の原題も「The Man from U.N.C.L.E.」だったんですね。1966年から70年にかけて放送されていたそうです。「スパイ大作戦」とともによく見ていました。あの頃は西部劇からワンシチュ...

恋人たち/橋口亮輔監督

2015.11.20

か行,

世の不条理を描くことは映画の常道ではあるけれど、それと戦う意思なくして物語となり得るのか?映画を撮ることがとても苦しそうですね。厳しい言葉になりますが、撮りたいものがあるのではなく、撮るために無理やり何かを引きずり出そうとしているような感じがします。橋口亮輔監督、名前は見聞きしていますが、多分何も見ていないと思います。その上での言葉ですので、この映画を見て直感...

英国王のスピーチ/トム・フーパー監督

2015.11.18

あ行,

DVD視聴ですので今更ですが普通に面白かったです。この監督はオーソドックスな手法があっています。英国王のスピーチ (字幕版)メディア: Prime Video 2010年の作品ですので、いまさら何かを書く映画ではありませんが、見たことを忘れないようにとのメモ程度です。DVD になったらすぐに見ようと思っていたはずですが、なんと5年後になって...

FOUJITA/小栗康平監督

2015.11.16

英数字, 英字

映画が映像的にも内容的にも、そしてもし反戦の意識があるとするならその点においても平面的です。小栗康平監督というのはこういう映画を撮る方なんですね。「泥の河」も「死の棘」も「眠る男」を見ておらず、はじめてです。それにしても「藤田嗣治」人気なんでしょうか、月曜日の昼間なのによく入っていました。1920年代、フランス・パリ。「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・...

名もなき塀の中の王/デビッド・マッケンジー監督

2015.11.12

おすすめ映画, な行,

ジャック・オコンネルのエリック、触るとやけどしそうなくらいのひりひり感がとてもいい!刑務所を舞台にした映画にハズレはない(かも?)ですね。記憶に新しいところでは「預言者」「タンゴ・リブレ 君を想う」、刑務所の中だけの話ではありませんが、「愛について、ある土曜日の面会室」、最近見た映画で何かもうひとつあったような気がしますが思い出せません。暴力や犯罪ものはドラ...

1001グラム ハカリしれない愛のこと/ベント・ハーメル監督

2015.11.11

英数字, 数字

キログラム原器にかけてきた父の人生は21グラムの魂が抜けても1グラム意味があったとか?映画だけでなく何であっても「北欧」でくくって語るというのは、日本や韓国を東アジアでくくるみたいなもので、それってどうなんだろうとは思いますが、それでもこの映画なんかは、カウリスマキ監督の人間の捉え方とかちょっと覚めた距離感とかどことなく似ています。逆かな? 我々がそうした映画を...

クロワッサンで朝食を/イルマル・ラーグ監督

2015.11.09

か行,

邦題にかなり違和感、ヨーロッパの「老い」の感覚が感じられる映画というところかな見始めてしばらくは、あれ?借りる映画を間違えたのかと思いました。記憶している予告編の印象やタイトルから、裕福だけれども偏屈がゆえに孤独な老婦人が、貧しいけれども心豊かな家政婦さんの優しさに触れて心をひらいていくお話かと思っていました。その思い込みから、まあ DVD でいいかと思っ...

ボーダレス ぼくの船の国境線/アミルホセイン・アスガリ監督

2015.11.04

は行,

川べりの廃船、そこへ素潜りで行き来し魚や貝で生活の糧を得る少年、設定は大いに期待をもたせるのだが…イラン映画を見始めたのは、ご多分にもれずアッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」からですが、振り返ってみますと、そのままイラン国内の映画事情を反映しているのかどうかは分かりませんが、イラン映画というのは作家性の強い作品が多いですね。そうしたところが日本や...

トランスポーター/カミーユ・ドゥラマーレ監督

2015.11.03

た行,

見終わって何も残らない爽快さはリュック・ベッソン・アクションでしか味わえない!「トランスポーター」のフランク・マーティンが、ジェイソン・ステイサムからエド・スクレインという人に変わってしまいました。監督も「96時間」などの編集をやっていたというカミーユ・ドゥラマーレ監督という方に変わりました。アクションものはほとんど見ないのですが、リュック・ベッソンだけは別で...

アクトレス ~女たちの舞台~オリヴィエ・アサイヤス監督

2015.10.29

あ行, , おすすめ映画

ジュリエット・ビノシュは当然としても、クリステン・スチュワートの個人秘書役が素晴らしい!「アクトレス」はともかく「女たちの舞台」なんていう二時間ドラマを思わせるタイトルで、映画はどうかな?と思いましたが、とんでもなくいい映画でした。それもそのはずで、原題は邦題とはかけ離れた「Clouds of Sils Maria」であり、スイスのシルス地方のマリア地区で見られ...

夏をゆく人々/アリーチェ・ロルヴァケル監督

2015.10.26

な行,

事前情報を入れてから見たほうがいいかも。それではいい映画とは言えないと言わないで。モニカ・ベルッチさん出てました。昨年のカンヌグランプリ受賞作です。予告編を見た時にも不思議な印象を受けたのですが、本編を見てもとても不思議な映画でした。まあカンヌらしいと言えばその通りなんですが、良いかどうかはっきりしないけれども、どこか捨てきれないという感じですね。光と緑...

岸辺の旅/黒沢清監督

2015.10.23

か行,

深津絵里さんの良さで持っているような映画ですね。やたら大層な音楽が良いのやら悪いのやら…黒沢清監督の作品を見るのは「トウキョウソナタ」以来でしょうか。この映画、カンヌの「ある視点」部門で監督賞を受賞していますが、見ての印象は、むしろ深津絵里さんに女優賞をあげたほうがいいような映画ですね。3年間、失踪していた夫が突然帰ってきた。だが、夫は「俺、死んだよ」と妻...

過ぐる日のやまねこ/鶴岡慧子監督

2015.10.20

か行,

フランスを目指した(かどうかは本当のところ分かりませんが…)はずが日本に舞い戻ってしまったのでしょうか?2012年「くじらのまち」でPFFグランプリを獲得し、出品したベルリン映画祭で「フランス映画のようだ」と評された鶴岡慧子監督が、PFFスカラシップで撮った初の劇場公開作です。確かに「くじらのまち」は、無駄なところのない、よく練って作られた映画でした。三人の高校...

草原の実験/アレクサンドル・コット監督

2015.10.19

さ行,

台詞の有り無しが特徴と言われないために、あるいは映像が美しい映画と言われないために「草原の実験」って何? と不思議なタイトルですが、最後に「ああ、そういうことね」と分かります。原題が「Ispytanie」とローマ字表記になっているのは、ロシア語(キリル文字)は2バイト文字なのでラテン文字表記法という1バイト文字変換というものがあるようです。意味は TEST という...

顔のないヒトラーたち/ジュリオ・リッチャレッリ監督

2015.10.14

か行,

映画の評価より「フランクフルト・アウシュビッツ裁判」について語るしかない誤解を受ける言い回しかもしれませんが、我々日本人ってヒトラーやアウシュビッツを扱った映画って好きですよね。配給もそれを分かって邦題をつけているのでしょうが、かく言う私もつい見なくてはいけない(強迫)観念にとらわれて見に行きました。連休明けの朝イチですので空いているかと思いきや、その時間帯にし...