記事一覧

東京人間喜劇/深田晃司監督

2014.05.10

た行,

かなり凝った構成の作品で、こうした作り込みこそが深田監督がやりたいと思っていることではないか…「ほとりの朔子」の深田監督、2008年の作品です。40分ほどの3作品がオムニバス、というより、登場人物がからみ合いながら繋がっていく連作といった方がいいかもしれません。バルザックの「人間喜劇」と呼ばれる作品群の手法とのことです。https://www....

ワレサ 連帯の男/アンジェイ・ワイダ監督

2014.05.10

わん他,

幾度も流れる熱いロックがそれを現しているのでしょうが、映画的には渋さはあっても熱さはなく、ワレサも人間的魅力が感じられる…いわゆる伝記ものではあるのですが、全くヒーロー感はなく、とても見やすい反面、どこか物足りなさも感じます。なぜ一電気工であったワレサが、革命的なリーダーとなり、ノーベル平和賞を受賞し、初代大統領にまでなったか、そうしたことを描く意図はあ...

そこのみにて光輝く/呉美保監督

2014.04.30

さ行,

この映画は、原作に比して、温度が低く、湿度が高いそこのみにて光輝く 発売日: 2015/02/14 メディア: Prime Videoこれは佐藤泰志「そこのみにて光輝く」とは全く別の「そこのみにて光輝く」ですね。映画『そこのみにて光輝く』予告編決定的なことは、原作の達夫は、映画のように目の前で人を死なせてしまった自責の念で無為な...

ワールズ・エンド酔っぱらいが世界を救う!/エドガー・ライト監督

2014.04.30

わん他,

期待はハチャメチャな酔っぱらいのおバカ映画だったのですが…コメディーを映画館で見ることはほとんどないのですが、何となく見ていたネットの記事で引っかかり見てみました。「あら? 思っていたのと違うぞ」と、突き抜け方ももの足りず、爆笑もできず、私としてはやや残念な映画ではありました。論理はあまり良く分からなかったのですが、ネ...

ある過去の行方/アスガー・ファルハディ監督

2014.04.24

あ行,

「彼女が消えた浜辺」「別離」そしてこの作品、アスガー・ファルハディ監督の映画づくりのテーマやこだわりや手法は一貫しているようです「別離」の評価が高かったせいでしょうか、平日の昼間でしたがほぼ満席でした。いやむしろ、平日昼間だからよく入っていたと言える映画なのかも知れません。最近では、もちろん映画の内容や映画館のイメージにもよりますしアニ...

かしこい狗は吠えずに笑う/渡部亮平監督

2014.04.24

か行,

映画としてはもっと整理すべきだとは思いますが、うまい台詞もたくさんあり、映画監督より脚本家として…私好みの映画は撮ってくれそうもありませんが(笑)才能は感じられます。自主映画ですのでいろいろな眼が入らないこともあるのでしょう、まだまだ整理し切れていない感じがします。前半はどこに向かうのかかなりつかみづらいのですが、後半は一気にサスペンスタッチとなり結構見られます。...

アデル、ブルーは熱い色/アブデラティフ・ケシシュ監督

2014.04.19

あ行,

クローズアップ多用の手法はアデルの居心地の悪さに揺れる心や不安定さを見事にとらえ見る者を引きつけますこれは、間違いなくアデルを演じたアデル・エグザルコプロスの映画です。監督と二人の俳優がそろってパルムドールを受賞したという、もう一人のレア・セドゥもとても良かったのですが、こちらの良さは俳優としての良さであり、アデルの方は、もちろん演技なんでしょうが、演技を越えた存...

家族の灯り/マノエル・ド・オリヴェイラ監督

2014.04.16

か行,

多分、絵画的な画のつくりや舞台劇的な独白を多用した象徴性を楽しむべきなのでしょう、が…こういう映画を楽しむのは結構骨が折れます。具体的なことをやっているのに、現代に結びつきにくく、象徴的に見ようにも、あまりにも具体的すぎて想像力が働きにくいという…。(私だけか…)老夫婦と息子の妻は、8年前に失踪した息子のことを思い続ける毎日です。父親は、息子が何らかの犯罪(強盗?...

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅/アレクサンダー・ペイン監督

2014.04.16

な行,

高齢化と肥満体型のニートで描くアメリカの田舎町の非生産的な描写にはちょっとびっくり公開以来ずっと気になっていたのですが、結局最終日になってしまいました。結構遅い時間の上映でしたのでガラガラだろうと思って行ったところ、以外にも入っていましたのでビックリ、さらに、遅れて入ってくるは、ごそごそ何か食べてる(か?)は、携帯をブルブルさせて液晶点灯させるは、エンド...

セインツ 約束の果て/デヴィッド・ロウリー監督

2014.04.11

さ行,

雰囲気としては「俺たちに明日はない」などアメリカン・ニューシネマ的と言えなくもないのですが…「悲劇的な愛」なんていうコピーに非常に弱い私としては、見逃すわけにはいきません(笑)。と、出掛けたのですが…。https://www.youtube.com/embed/s2NItIdxQ5oいや、全くその通りの映画ではありました。荒...

グロリアの青春/セバスティアン・レリオ監督

2014.04.09

か行,

不思議な感じのする映画でした。もちろん中年女性の愛やら恋やらがめずらしいという意味ではなく…不思議な印象の映画今まで見たことのないような映画でした。もちろん中年女性の愛やら恋やらがめずらしいという意味ではなく、グロリアの人物像や人間関係が私の感覚と微妙にずれていて、とても不思議な感じのする映画だったという意味です。映画『グロリアの青春...

オーバー・ザ・ブルースカイ/フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督

2014.04.09

あ行,

初めて二人がデュエットするシーン、エリーゼの透明感のある歌声に一気に引き込まれますオーバー・ザ・ブルースカイ [DVD]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2015/03/06メディア: DVDこの商品を含むブログを見る見始めてしばらくは、子供の難病を扱った感動ものかなとか、ディディエとエリーゼ以外には出てこず、薄っぺらい恋愛ものかななど...

コーヒーをめぐる冒険/ヤン・オーレ・ゲルスター監督

2014.04.04

か行,

なぜか一日コーヒーを飲み損ねる男の行く末が気になっていたのですが、意外にも、結構シリアスでしんみり…予告で見た、なぜか一日コーヒーを飲み損ねる男の行く末が気になっていたのですが、意外にも、結構シリアスでしんみりしてしまいました。『コーヒーをめぐる冒険』予告編冒頭のシーン、やや仰角気味でとらえたニコ(トム・シリング)と恋人(?)のシルエット映像、構図もいいですし...

ほとりの朔子/深田晃司監督

2014.04.04

は行,

ホン・サンスが韓国のロメールなら、深田晃司は日本のロメールというところでしょうかほとりの朔子 [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2015/02/03 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (1件) を見るホン・サンスが韓国のロメールなら、深田晃司は日本のロメールというところでしょうか。そ...

鉄くず拾いの物語/ダニス・タノヴィッチ監督

2014.03.19

た行,

この映画は多くの人に見てほしい!ナジフとセナダの仲良し会話が印象的で、とても和みますこの映画は是非とも多くの人に観て欲しいです。個人的には、今、最も映画の可能性を感じる手法、当事者自身が自ら経験した事実を演じるという、ドキュメンタリーでもない、ドラマでもない映画です。『鉄くず拾いの物語』予告編ロマ族のナジフ(ナジフ・ムジチ)とセナダ(セナダ・アリマノヴィッチ...

ブエノスアイレス恋愛事情/グスタボ・タレット監督

2014.03.15

は行,

ポストインターネット時代ではあるけれど、ブエノスアイレスの引きこもりはやっぱりラテン系?冒頭、ブエノスアイレスの街を静止画的にとらえたカットが何枚も切り替えられて始まるのですが、最初の数枚は、ン?日本?と勘違いするくらいの風景、風景といっても、そうですね、今私は10階にいるのですが、ここから見る街の建物風景とさほど変わらない感じです。さらに街カッ...

それでも夜は明ける/スティーヴ・マックイーン監督

2014.03.15

さ行,

200年も続いたアメリカの奴隷制度が単に暴力による恐怖で成立していたとは思えない正直、たとえアカデミー賞であっても、この映画が「作品賞」というのは、ちょっとばかり首をひねらざるをえません。ましてや、「脚色賞」というのは?? 「脚本賞」じゃないというのがまだ救いでしょうか…。https://www.youtube.com/embed/OKlE31...

ダラス・バイヤーズクラブ/ジャン=マルク・ヴァレ監督

2014.03.06

た行,

トランスジェンダーのレイヨンを演じたジャレット・レト、こんなにきれいになるの!?マシュー・マコノヒー主演男優賞、ジャレッド・レト助演男優賞受賞のニュースを聞いて、こりゃいかん、早く行かねば(混むかも)と思い見てきました。予告編を見て、見ておこうかなと興味を持っただけで、もともとどの程度評判だったのか分かりませんが、やっぱりアカデミー賞の影響はあったようで、やや入り...

さよなら、アドルフ/ケイト・ショートランド監督

2014.02.28

さ行,

出来としてはかなり物足りなく、どちらかといいますとイライラさせられるタイプの映画でしたナチスによるユダヤ人迫害を扱った映画は数え切れないほどありますが、この映画は、逆に、ナチスの将校を父親に持った子供たちの苦難を描いています。https://www.youtube.com/embed/8U3tT4lzglQ監督がオーストラリアのケイト...

光にふれる/チャン・ロンジー監督

2014.02.27

は行,

安易に同情を誘おうとしない、抑制されたつくりに思わず涙が流れます久しぶりに、心が洗われるような涙を流しました。映画『光にふれる』予告編感動ものはあまり好みではありませんが、安易に同情を誘おうとしない、抑制されたつくりに思わず涙が流れます。実話に基づくとありますが、ユィシアンがホアン・ユィシアン本人だと今知りました。視覚障害の演技がすごいなあと見ていたのですが、...