イスラム国モロッコの同性愛と夫婦愛とカフタン愛 マリヤム・トゥザニ監督「モロッコ、彼女たちの朝(Adam)」に続く長編二作目です。昨年2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」で国際映画批評家連盟賞を受賞しています。青いカフタンの仕立て屋 / 監督:マリヤム・トゥザニミナとハリム少ない台詞と抑制された演出は前作「...
あなたは男社会を赦す?戦う?逃げる?と映画が問うてくる 「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー監督、あれは2007年の映画でしたので16年ぶりということになります。監督自身はその間にも2、3本の映画やテレビドラマを撮っています。この「ウーマン・トーキング 私たちの選択」の主演はルーニー・マーラさん、私には「キャロル」を見た以降、評価の...
下世話な意味ではないファザー・コンプレックスの映画 スコットランドのシャーロット・ウェルズ監督の長編デビュー作です。現在35歳、過去に短編3本がクレジットされています。また、この「aftersun」の父親カラム役のポール・メスカルさんが今年2023年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。受賞は「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーさんでした。...
イエジー・スコリモフスキ監督いきあたりばったり イエジー・スコリモフスキ監督、現在84歳です。前作の「イレブン・ミニッツ」が2015年ですので、7年ぶりです。昨年2022年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され審査員賞と作曲賞を受賞しています。EO イーオー / 監督:イエジー・スコリモフスキEO どこへ行くイ...
11歳の少年は世の不公平や偏見差別を肌身を持って体験する ジェームス・グレイ監督、見ているのは「エヴァの告白」だけです。もうほぼ10年前になりますが、マリオン・コティヤールさんを見に行った映画でよく覚えています。で、この「アルマゲドン・タイム ある日々の肖像」ですが、邦題の副題の言葉の選択が間違っています。日本語として「ある日々の肖像」なんてのはお...
オリジナルへのリスペクトと何かが抜け落ちた物足りなさ 言うまでもなく黒澤明監督の「生きる」のリメイクです。脚本はカズオ・イシグロさんです。生きる LIVING / 監督:オリヴァー・ハーマナスオリジナルに忠実なリメイク版オリジナルへのリスペクトが感じられるリメイクです。黒澤明監督の「生きる」をほぼ踏襲している印象です。...
事件そのものの問題点に迫ることなく弁護側の主張に基づく映画 Winny? と、すぐにはあのファイル共有ソフトには結びつかず、逆に何だろうと目を引き、さらに監督松本優作の名に記憶があり、サイト内を検索してみましたら「ぜんぶ、ボクのせい」の監督でした。実は、この「ぜんぶ、ボクのせい」という映画、リンク先のレビューに「日本映画界の失われた30年」とまでかなり辛辣...
史実のつまみ食いとベタなラブストーリー エッフェル塔が人の名前からとられたもの程度のことは知っていましたが、こんな悲しいラブストーリーがあったなんて…って、作り話に決まってますやん(笑)。まあ「ニューヨークの巴里夫」以来のロマン・デュリスを見に行ったと思えばいいでしょう。と思いましたら「彼は秘密の女ともだち」も「パパは奮闘中!」も見ていました。...
『世界人権宣言』を読むきっかけにはなるかも… クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督、初めて目にする監督ですのでプロフィールをちらっと見ましたら1950年生まれとあり、現在72、3歳ということになります。なのに、過去に日本で公開された映画がないようです。ということから興味がわき、イタリア映画でタイトルが「丘の上の本屋さん」であれば、きっとイタリア映画得...
基本は家族もの、低予算を逆手にとったキワモノか… 今年2023年のアカデミー賞に作品賞、監督賞、主演女優賞はじめ10部門11(助演女優賞2人)ノミネートされている映画です。見ようか見まいかと迷って結局見なかった「スイス・アーミー・マン」のダニエル・クワン&ダニエル・シャイナートのダニエルズ監督です。エブリシング・エブリウェ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「1917 命をかけた伝令」のサム・メンデス監督です。その「1917 命をかけた伝令」、リンク先の自分のレビューを読み返してみましたらぼろくそに書いています(ペコリ)。主演は「女王陛下のお気に入り」「ファーザー」のオリヴィア・コールマンさん、劇場で何度も見たこの映画の予告編に「キャリア最高の演技」とあったのが...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 エッセイストの高山真さんという方の自伝的小説『エゴイスト』の映画化です。監督は「ハナレイ・ベイ」の松永大司監督です。エゴイスト / 監督:松永大司高山真さん高山真さんという方に思い入れがあるか、その著作に興味がないと映画としてはちょっとつらいです。ですので、以下レビューらしいこと...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 このところ舞台劇が映画化されたものをよく見ているような気がします。今年に入ってからでも「そして僕は途方に暮れる」がありましたし、昨年は「もっと超越した所へ。」がそうでした。その年の「わたし達はおとな」や「そばかす」も演劇畑の監督の映画でした。たまたまなのか、何かの傾向なのか、どうなんでしょう?この「あつい胸さ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督の最新作、昨日でしたか一昨日でしたか、アカデミー賞にも何部門かでノミネートされたニュースが流れていました。「作品、監督、主演男優(コリン・ファレル)、助演男優(ブレンダン・グリーソン&バリー・コーガン)、助演女優(ケリー・コンドン)ほか8部門9ノミネート(映画...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 2003年、東アジアを中心にSARSが流行していた頃、母親の乳がんの治療のためにアメリカから台湾に戻った13歳の少女が抱く疎外感や母親との軋轢を描いた映画です。この映画が長編デビュー作となるロアン・フォンイー監督の自伝的な映画とのことです。アメリカから来た少女 / 監督:ロアン・フォンイー(...
男性が根源的に持つ暴力性と甘え、冗談じゃねぇと拒否される 「エクス・マキナ」を見たと思っていたけれども見ていなかったアレックス・ガーランド監督の最新作です。主演のジェシー・バックリーさんはたくさん見ています。「彼女たちの革命前夜」「ワイルド・ローズ」これはよかったです。主演ではありませんが「ジュディ 虹の彼方に」や「クーリエ:最高機密の運び屋」でも印象に残...
アンヌの身体や人生のことはアンヌが決めるべきということ すごい映画です。昨年2021年のヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞受賞作です。今年、ノーベル文学賞を受賞したフランスのアニー・エルノーさんの『事件 L'Événement』という著作をベースにした映画で、内容も内容なんですが、エルノーさんはオートフィクションの作家と言われている方で、著作の多くが...
原作にとらわれすぎた脚本に問題あり…かな? 平野啓一郎さんの『ある男』の映画化です。監督は「愚行録」「蜂蜜と遠雷」「Arc アーク」の石川慶監督です。えー、自分でもびっくり、長編はすべて見ています。ある男 / 監督:石川慶安藤サクラさんが深いです出演は、妻夫木聡さん、安藤サクラさん、窪田正孝さんです。今注目の仲野太賀さ...
どこにも鬼がいない昭和愛憎ものの表層 よく知られた話ですが、瀬戸内寂聴(当時は瀬戸内晴美)さんは、1966年くらいから7年間ほど井上光晴さんと恋愛関係にあり、その関係を精算するために出家して寂聴を名乗るようになっています。井上光晴さんは既婚者ですので不倫ということになり、その間の二人と井上さんの妻郁子さんを描いた映画です。あちらに...
「Business Plot」というスキャンダルが元ネタらしいのだが… 新型コロナウイルスの影響が今出てきたのか、メジャー系じゃない実写映画の興行成績が振るわない(と感じるけどどうなんでしょう…)せいなのか、そそられる映画が入ってこなくなっているように感じます。以前ならおそらく見ていなかったこの「アムステルダム」です(ペコリ)。...