やろうとしていることはわかるが、なにか勘違いがあるようだ… ムニア・メドゥール監督の「パピチャ 未来へのランウェイ」に続く長編二作目です。主演も同じくリナ・クードリさんです。裸足になって / 監督:ムニア・メドゥール物語の説明に終始していないか…やろうとしていることはわかりますし、うまく出来ていれば感動もする物語だ...
波紋というより復讐劇、それに差別と理不尽なことへの怒りとは違う 「かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」「川っぺりムコリッタ」の荻上直子監督です。どういう映画を撮る監督はもうおおよそ想像がつきますので、この映画に対する興味はどちらかといいますと筒井真理子さんです。波紋 / 監督:荻上直子荻上直子監督、イメチェンを狙う?...
人生崖っぷちのタクシードライバーと人生終末の92歳女性が心を通わすファンタジー タクシーを使ったフランス映画と言えば、ずばりタクシーがマルセイユの街なかを爆走するリュック・ベッソンの「TAXi」ですが、あれはカーアクションですし、街もパリではなくマルセイユです。フランス映画というだけでまったく関係のない、それも正反対ともいえる映画を引き合いに出して...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「セッション」しか見ていないデイミアン・チャゼル監督だと思っていましたが、このサイト内を検索しましたら「ファースト・マン」という人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロングさんを描いた映画を見ていました。何も記憶しておらずびっくりです(笑)。バビロン / デイミアン・チャゼル「ラ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 娘が誘拐された母親を追ったメキシコの映画ですが、監督はルーマニア系ベルギー人(だと思う…)のテオドラ・アナ・ミハイさん、この映画の制作時は40歳くらいの方だと思います。IMDbによりますと、過去にドキュメンタリーの長編1本短編4本を撮っており、ドラマとしてはこの映画がデビュー作になります。なのにプロデューサー陣がすご...
愛と裏切り、そして変わらぬ友情の40年 2022年最後の映画になりました。ガブリエレ・ムッチーノ監督です。ウィル・スミス主演の「幸せのちから」などタイトルに記憶しているものは多いのですが、どうやら初めて見るようです。年の最後に見るにはいい映画だと思います。映画の中にも Happy New Year シーンがありますし花火も上がります。ただ、中盤以降...
個の自由が血縁、愛憎を乗り越える 名前をみれば必ず劇場に足を運ぶ監督のひとり、ペドロ・アルモドバル監督の最新作です。「オール・アバウト・マイ・マザー」以降はすべて劇場で、それ以前のもので発売されている作品はすべてDVDで見ています。この「パラレル・マザーズ」は、昨年2021年のヴェネツィア国際映画祭のコンペティションに出品され、主演のペネロペ・クル...
ヌールはここを出ていくと宣言するが… フランスのヨアン・マンカ監督の長編デビュー作、昨年2021年のカンヌ映画祭のある視点部門で上映されています。マンカ監督は1989年生まれの32歳です。母へ捧げる僕たちのアリア / 監督:ヨアン・マンカマンカ監督、シュムラさんに訴えられる?ヨアン・マンカ監督のウィキペディアを見て...
近代的自我の葛藤のテーマがぼんやり、それは現代的? 島崎藤村著『破戒』の映画化です。1948年の木下恵介監督作品、1962年の市川崑監督作品に続く3度めです。監督は前田和男さん、初めて見る監督です。破戒 / 監督:前田和男水平社創立100周年記念なぜ今映画化?と思いましたら、水平社創立100周年記念ということで部落...
セックスというコミュニケーション ジャック・オーディアール監督は割と硬派な映画を撮る監督との印象を持っていましたので、結末にはちょっと驚きました。終わってみれば、え?今どきの日本映画じゃないの?!と思ったということです。パリ13区 / 監督:ジャック・オーディアール日本映画で言えば恋バナ映画4人の男女の恋愛話です。...
母と娘のクリーチャーホラー フィンランドのクリーチャー系ホラーです。クリーチャーものを好んで見ることはありませんが、フィンランド映画ということで挑戦してみました。フィンランドということに特に意味があるわけではなく、このところ劇場公開される海外の映画の製作国が英米仏あたりに偏っている気がしますので、そうじゃない映画を見ようと思ったということです。中南...
その時生きている空間をその時の出会いで撮った映画 ホームビデオみたいな映画です。だからといってダメというわけでもありませんが、さすがにこれを2時間見続けるのはつらいです。春原さんのうた / 監督:杉田協士なにがホームビデオ的なのか?ひとことでいいますと、映画を撮っている人の、ここでは杉田協士監督ですが、その人のなに...
俳優の重厚さのわりにグッチ一族が薄っぺらくみえる 「アリー スター誕生」のガガさん、よかったです。アダム・ドライバーさんの方は「マリッジ・ストーリー」「パターソン」が印象に残っています。その二人の共演なら見なくちゃいけないでしょう。それにアル・パチーノ、ジャレッド・レト、期待が持てます。俳優のレベルは高いのだが…ネタバレあらすじ「ゴッドフ...
ある日、父親が女性になると宣言する 11歳と14歳の娘を持つ父親がトランスセクシュアルするデンマークの映画です。LGBTQをテーマにした映画も随分多くなってきましたが、この映画はその当事者である父親に焦点をあてているわけではなく、11歳の娘がそのことをどうとらえ、どう変わっていくかを描こうとしています。その視点自体もこれまであまりなかったのでは...
あるある型映画、傷つく恋愛映画は好まれない 公開時(まだ今年のはじめだったんですね)、菅田将暉さんの映画ということでどんな映画だろうと映画.comを見たときに、かなり評価が高い上にちらっと見たレビューから「リアル」という言葉が飛び込んできたがために記憶に残っており、DVDで見てみました。花束みたいな恋をした / 監督:土井裕泰説明モノローグにびっくり...
犬は男?うさぎは女?隠されたセクシュアリティ 「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督です。今年2021年のヴェネチアで最優秀監督賞(銀熊賞)を受賞しています。そう言えば随分名前を耳にしていないなあとウィキペディアを見てみましたら、12年ぶりの監督作品とのことです。私は「ピアノ・レッスン」以来かもしれません。「トップ・オブ・ザ・レイク」という2013年のテ...
高畑充希さんら俳優が映画を救う タナダユキ監督の映画では初めてよかったと思った作品かもしれません(ペコリ)。「赤い文化住宅の初子」以来、数本は見ているのですが、どちらかと言いますとステレオタイプな人物でドラマをつくる印象が強く、過剰な演出を感じるからだと思います。でも、この映画は、そうした過剰さは多少感じられるにしても、俳優によって打ち消されていますし、そもそも...
藤原竜也×西野七瀬、男女バディーものでいけるんじゃない この映画を見た理由は「鳩の撃退法」のタイトルにつられただけです(笑)。それだけ映画のタイトルは重要ということでもあります。原作者の佐藤正午さんの名前は見聞きはしていますが読んだことはなく、同名タイトルの原作も知らなかったということです。もちろん見る前にはざっと公式サイトを覗きましたのでわかって見てはいます。...
ベトナムのストリートチルドレン走る ベトナム映画です。ベトナム公式の宝くじに便乗しておこなわれている(らしい)違法ギャンブル「sốđề」という闇くじを生活の糧にしているストリートチルドレンを描いています。走れロム / 監督:チャン・タン・フイ監督短編映画「16:30」何をやろうとしているのかよくわからない ネタバレあらすじ混乱もカオスに向かわ...
アナーキーな村、バクラウ、アナーキーな映画、バクラウ 昨年(2020年)末の劇場公開時に見ているのですが、書きかけでそのままになっていた映画です。かなり記憶も薄れてしまいましたのでDVDを見てみました。前半は散漫な感じでDVDじゃ集中できませんが、やはり後半はぐっと惹きつけられます。次第に映画の向かっているところが見えてくるからでしょう。2019年のカンヌで「レ...