褒めてる映画

いとみち

2021.06.30

あ行, , 褒めてる映画

すべてにおいて過不足なく完璧!横浜聡子監督、2016年の「俳優 亀岡拓次」以来です。長編ではその前が2008年の「ウルトラミラクルラブストーリー」ですから、なかなか撮りたいものの環境が整わないということなのか、もっと撮って欲しい監督のひとりです。で、「いとみち」、完璧でした。あらゆる点において過不足なく完璧でした。いとみち / 監督:横浜聡子駒井...

ペトルーニャに祝福を

2021.06.14

は行, , 褒めてる映画

神は存在する 彼女の名はペトルーニャ、というマケドニア映画邦題は「ペトルーニャに祝福を」という優しいタイトルになっていますが、英題は「GOD EXISTS, HER NAME IS PETRUNYA」です。マケドニア語の原題も同じ意味らしく、そのまま日本語にすれば「神は存在する 彼女の名はペトルーニャ」です。ギリシャ正教とか東方教会と呼ばれるキリスト教の世界の話...

幸せの答え合わせ

2021.06.09

さ行, , 褒めてる映画

ウィリアム・ニコルソン監督自身の両親追憶映画すごい映画ですし、面白いです。老年夫婦の離婚話ですが、その離婚話自体が類似の映画とは随分かけ離れていますし、台詞だけではなく頻繁に語られる詩などの言葉にいろいろ意味が込められているようです。とにかくいろんな見方ができる映画で、ウィリアム・ニコルソン監督(脚本も)は一体どこへ持っていこうとしているのか考えさせられてしまい...

オールド・ドッグ

2021.04.29

あ行, , 褒めてる映画

映画から10年の今、老犬はいまだ死なず…を願う今年の2月に見た「羊飼いと風船」のペマ・ツェテン監督、2011年の作品です。その年の東京フィルメックスでグランプリを受賞しています。オールド・ドッグ / 監督:ペマ・ツェテンラストシーンで一気にたちのぼる物語性馬、バイク、走り抜けるトラック息子夫婦の不妊 テレビ放送、チベット人の警官、教師ネ...

BLUE/ブルー

2021.04.11

英数字, 英字, 褒めてる映画

昭和のドラマ、平成の価値観、令和の女性観ボクシング映画というよりもボクシングジム映画というべき、リング上の格闘よりもそこにいたるまでの(やや年齢のいった)若者たちの「心の格闘」を描いた映画でした。俳優によってドラマが生まれるいい映画です。BLUE/ブルー / 監督:?田恵輔俳優がドラマをつくる昭和のドラマのベタさを排して…ネタバレあらすじとち...

DAU. ナターシャ

2021.03.22

英数字, 英字, 褒めてる映画

ソ連全体主義再現プロジェクトこの映画を一般的な面白い面白くないという範疇で語ってもあまり意味がないかもしれません。なにせ「DAU」というのは壮大なプロジェクトであり、この映画は、13本の映画と6本のTVシリーズ(14本の映画と3本のTVシリーズかも)のうちの1本ということです。また、プロジェクトの基本的なテーマが全体主義の再現ということであれば、あるいは「静かな...

わたしの叔父さん

2021.02.24

わん他, , 褒めてる映画

センスもよく、遊び心もあり、美しい楽しい映画でした。そしていい映画でした。このところ押し付けがましいドラマばかり、特に日本映画なんですが、物語を説明的に語る映画を見ることが多く、それらに比べてこの映画はとても新鮮で、あれこれ考えながら見られるとても楽しい映画でした。わたしの叔父さん / 監督:フラレ・ピーダセンドラマは見る者の心の中に生まれる酪...

羊飼いと風船

2021.02.05

は行, , 褒めてる映画

映画のつくりやカメラワークが洗練されている映画らしい映画です。プロの技みたいなものも感じます。ペマ・ツェテン監督、初めて見ました。フィルメックスでは過去の作品も何本か上映され、この「羊飼いと風船」を含め3度の最優秀作品賞を受賞しているようです。また、今年の3月には岩波ホールで「チベット映画特集」があり、ペマ・ツェテン監督の作品も「オールド・ドッグ」と「タルロ」...

この世界に残されて

2021.01.14

か行, , 褒めてる映画

ホロコースト サバイバーの医師と少女、そして男と女昨年2020年のアカデミー賞国際長編映画賞のショートリストに選出されたハンガリー映画です。結局ノミネートされなかったということで残念ですが、逆に言えばアカデミー好みじゃないいい映画ということでしょう(笑)。この世界に残されて / 監督:バルナバーシュ・トートアカデミー賞国際長編映画賞のショートリスト...

Swallow/スワロウ

2021.01.07

英数字, 英字, 褒めてる映画

フェミニズム、PTSD、そしてヒッチコックすごいですね、この映画、まったく先が読めません。で、終わってみれば、主人公ハンター(画像の女性)が「家」や「家族」という個人を抑圧する環境から自己を開放する物語でした。タイトルの Swallow はこの映画ではツバメではありません。「飲み込む」「侮辱などに耐える」「受け入れる」などの意味です。スラングでも使われているよ...

滑走路

2020.11.22

か行, , 褒めてる映画

萩原慎一郎の歌集からのオリジナルストーリー萩原慎一郎さんの歌集『滑走路』をベースにしたオリジナルストーリーの映画です。桑村さや香さんのシナリオがとてもよく、それを大庭功睦監督が俳優の間合いを活かし緊張感を途切れさせず息苦しいくらいに張り詰めた映画にしています。滑走路 / 監督:大庭功睦萩原慎一郎さんとはネタバレあらすじシナリオのうまさが光る...

生きちゃった

2020.11.03

あ行, , 褒めてる映画

圧倒的な太賀、何はなくとも映画は俳優すごい映画ですね。むちゃくちゃ集中させられます。ただ、映画館にいる間は、です。生きちゃった / 監督:石井祐也それでいいんですが、映画館から出て、あらためて思い返してみますと何の映画だったっけ? という感じがするんです。非難ということではありません。逆です。とにかく俳優、特に仲野太賀さんの圧倒的な熱量と石井裕...

ダミアン・マニヴェル監督特集

2020.10.27

た行, , 褒めてる映画

若き詩人、犬を連れた女、パーク、日曜日の朝「イサドラの子どもたち」公開記念ということでしょうか、ダミアン・マニヴェル監督の特集上映が行われています。「犬を連れた女(2010)」「日曜日の朝(2012)」「若き詩人(2014)」「パーク(2016)」の4本です。ダミアン・マニヴェル監督は五十嵐耕平監督との共同監督として「泳ぎすぎた夜」という映画も撮っています。...

行き止まりの世界に生まれて

2020.10.04

や行, , 褒めてる映画

優れたドキュメンタリーはドラマになる基本的にはセルフドキュメンタリーなんですが、他者であるキアーとザックのふたりにビン・リュー監督自身を投影することで監督自身の意識を客体化し、それにより映画自体を社会性のある客観的な映画に昇華させ、また映画そのものとしても見やすくすることに成功している優れたドキュメンタリーです。行き止まりの世界に生まれて / 監督:ビン・...

荒野にて

2020.09.25

か行, , 褒めてる映画

居場所を求めて2000km、少年と馬の放浪の旅劇場公開時に見ようかどうしようかと迷った映画です。宣伝チラシの印象から少年と馬の交流を描いたほのぼの系のヒューマンドラマだと思い込んでしまったことと前作の「さざなみ(2015)」が映画としてさほどよく思えなかったことからです。ところがDVDで見てみましたら、ほのぼの感は一切なく少年チャーリーの激烈な人生そのものでし...

LETO レト

2020.07.29

英数字, 英字, 褒めてる映画

80年代ソ連の切ない青春物語と皮肉を込めた反権力半月ほど前に見た「WAVES ウェイブス」に対しては「初めから終わりまでべったりくっついた音楽がうるさいですし、画のつくりがあざとすぎる」とやや(かなり?)批判的に書きましたが、この映画も同じようにほぼ全編音楽がついており、画の点でも下の画像のように基本はモノクロで時々カラーになったりアニメーションが入ったりとか...

その手に触れるまで

2020.06.14

さ行, , 褒めてる映画

ラストはどちらに取るにしても衝撃的。怖さだけが残らなければいいが…ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督、ほぼ3年に1本というペースが守られています。映画制作のプロセスが3年で出来上がっているんでしょうか、今回も2016年の「午後8時の訪問者」に続いての「その手に触れるまで Le jeune Ahmed(Young Ahmed)」です。この兄弟監督、初期...

黒四角

2020.04.21

か行, , 褒めてる映画

(DVD)俳優の間合いと表情で物語を語るいい映画じゃないですか!DVDのレンタル開始が2019年12月となっていましたので、最近の映画なのに記憶にないなあと思いながら借りましたら、2012年製作で日本での公開は2014年の映画でした。ひとことで言ってしまえば、時間と空間を超えたラブストーリーということなんですが、その物語そのものよりも、俳優たちの間合いと表情で...

レ・ミゼラブル

2020.02.29

ら行, , 褒めてる映画

見なくてはわからないリアリティとダイナミズム革命のダイナミズムとはこういうものかも知れない。というのが、この映画を見てまず最初に思ったことです。戦争は突発的にでも起きますし、ある一人の意志で起こすこともできますが、革命はそういうわけにはいきません。ある集団、階層、階級に共通した「怒り」がベースになければ革命は起きません。最初から最後まで「怒り」が渦巻いた映画...

風の電話

2020.01.26

か行, , 褒めてる映画

この映画には俳優モトーラ世理奈ではなくハルがいる10年という時の流れを経てもなお癒やされない悲しみを俳優の演技だけで表現することはかなり難しいことだと思います。それをやってのけたのがモトーラ世理奈さんであり、監督の諏訪敦彦さんです。東日本大震災のことです。ラスト、亡くなった家族へ「風の電話」をするハル=モトーラ世理奈、10分か、15分か、カメラはそのハルをアッ...