穴から見える世界は馬鹿な男たちの争いごとであり、破壊され、人が死んでいくだけの何も残さない世界 2014年7月頃のウクライナ東部ドンバス地方の物語です。2023年の今から見ますと、どうしても現在進行中のロシア・ウクライナ戦争という視点で見てしまいますが、そこに力点が置かれた映画ではありません。映画の制作も、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以...
え?!どこまで行くの? 特に見たいと思える映画もなく、迷いに迷ってポチッとしてしまった映画(笑)。なぜ迷ったかと言いますと、藤井道人監督の映画は「新聞記者」、DVDで「光と血」、そして「ヤクザと家族 The Family」と見てきていますが、この監督には人間の内面を描くことは無理だなと見きったからです(ペコリ)。ですので、見ておいてなんですがこの映...
レア・セドゥの魅力が裏目か…、ミア・ハンセン=ラヴ監督の新機軸か… 自伝的、あるいは自分の家族を題材にすることが多いミア・ハンセン=ラヴ監督の最新作、昨年2022年のカンヌ国際映画祭監督週間で上映され、ヨーロッパ・シネマ・レーベル賞を受賞しています。前作の「ベルイマン島にて」では自分自身ですし、「未来よ こんにちは」でイザベル・ユペールさんが演じた...
モンゴルっぽい映画ではなく、真モンゴル映画 日本の公式サイトに「“モンゴル映画”と言えば、草原を舞台にした作品を想起する人が多いはず」とあり、確かにそうだなあと思いながらも、さてどんな映画があるのだろう?と考えて思い出されるのは「モンゴル映画っぽい映画」であって、そもそも「真モンゴル映画」を見たことがないことに気づきます。でも、この「セールス・ガー...
着想の面白さだけで映画はもつか… 着想が面白い映画です。反面、もったいない感じがする映画でもあります。監督は阪本順治監督、最近の映画では「弟とアンドロイドと僕」「半世界」を見ています。せかいのおきく / 監督:阪本順治青春映画だったの?ラストシーンでしたか、章のタイトルでしたか、どこかに「青春」という言葉が出てきたと記...
美しき自然の中の美しき女性たちの佇まい… 映画.comのレビューの点数がかなり低いことで目につき、ひとつふたつレビューを読んで逆に興味がわいた映画です。それに、監督の伊藤ちひろさんの名前になんとなく記憶があり、このブログ内を検索してみましたら、「窮鼠はチーズの夢を見る」のシナリオがいいと褒める際に、何の根拠があったのかは忘れましたが、その映画の脚本の堀泉杏...
イランの女性連続殺人事件に見る女性蔑視の構造… 前作の「ボーダー 二つの世界」では、見る者のざわざわ感を呼び覚ますダークファンタジーで驚かせてくれたアリ・アッバシ監督です。アッバシ監督はその長編2作目にして、2018年のカンヌ国際映画祭ある視点部門でグランプリを受賞しています。そして、この最新作では主演のザーラ・アミール・エブラヒミさんが2022年のカンヌ...
父娘、ゲイ、宗教、そして人は人を救えるのか… うんざりするほど(笑)予告編を見せられた「ザ・ホエール」です。その印象からベタな父娘ものだろうとパスかなあと思っていたのですが、私にとっては「ブラック・スワン」以来のダーレン・アロノフスキー監督ですので思い返してポチッとしました。ザ・ホエール / 監督:ダーレン・アロノフスキー原...
映画の作り方、教えます 「映画作りに情熱を燃やす若者たちを描く70年代青春グラフィティ」という映画です。このコピーと映画のメインビジュアルを見れば内容はおおよそ想像がつきます。でも驚くのは、これを撮ったのが60歳の小中和哉監督であり、にもかかわらず、と言うのもなんですが、どちらかと言いますとノスタルジーよりも青春のみずみずしさが感じられる映画です。...
青春友情物語のテッパンもの、ただ小学6年の子どもたちだけど… こんなに邦画を見るようになったのはここ最近のことですので「百円の恋」もタイトルに記憶があるくらいで足立紳監督の名前も初めて目にしました。ただ、どんな映画を撮っている方かとキャリアを見ていましたら、結構いい印象で記憶に残っている「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の脚本にクレジットされていました。...
もったいない。90分の長大な予告編のよう… 唐田えりかさんだからということでポチッと(劇場予約を…)した映画です。「未完成映画予告編大賞」受賞作だったようです。予告編を作って応募し、受賞しますと本編の制作費が出るというコンテストです。それは予告編じゃなくてあらすじの映像版じゃないの、というのは突っ込みどころじゃなかったですね(笑)。このコンテストか...
観念的な父子関係のまま人生は続くと言われても… 2021年のアカデミー賞でアンソニー・ホプキンスさんが主演男優賞を受賞した「ファーザー」のフロリアン・ゼレール監督の最新作です。ゼレール監督自身も脚色賞を受賞しています。その前作が「The Father」で、この映画が「The Son」です。日本の公式サイトに家族三部作とありますので、次は The M...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 フランソワ・オゾン監督の最新作? と思いましたら、違いますね。これは2021年のカンヌのコンペティションに出品された映画で、オゾン監督はその後、2022年のベルリンのコンペティションに「Peter von Kant」を出品し、今年2023年1月にも「Mon crime(The Crime Is Mine)」がフランス...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 出演が北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音とくれば、やはり見てみようと食指が動きます。監督は清水康彦さん、ウィキペディアのプロフィールには「映像ディレクター。映像監督。映像作家」と並んでいます。でも全部おんなじじゃないですかね(笑)。スクロール / 監督:清水康彦目立つ清水康彦監督の...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「フタリノセカイ」の飯塚花笑監督、その映画を見たのはちょうど1年前です。正確な製作年がわかりませんのでなんとも言えませんが、1年でこの「世界は僕らに気づかない」ですか! すごいですね。世界は僕らに気づかない / 監督:飯塚花笑ガウと堀家一希に驚くフィリピン人の母と、父親を知らない...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「何者」「娼年」の三浦大輔監督です。私が見ているその二作は原作ものですが、この「そして僕は途方に暮れる」は三浦監督のオリジナルです。主演は藤ヶ谷太輔さん、Kis-My-Ft2の方とのこと、他に前田敦子さん、中尾明慶さん、原田美恵子さん、豊川悦司さんといったところです。そして僕は途方に暮れる ...
三浦透子主演のポリコレ的ホームドラマ 三浦透子さんのうまさが光り、前田敦子さんの異星人的存在感(笑)が光るポリコレ的ホームドラマです。監督は劇団「玉田企画」を主宰する玉田真也さん、脚本はアサダアツシさん、どちらも初めて見ます。そばかす / 監督:玉田真也三浦透子、そして前田敦子という俳優三浦透子関連出演作ドライブ...
ラストシーンのアン・ランの迷いの長さが映画のテーマそのもの 突然の両親の死でそれまで離れて暮らしていた幼い弟を引き取って育てるか、医師を目指す自らの将来のために養子に出すかの選択を迫られる20代の女性アン・ランを描いた中国映画です。内容はおおよそ想像はつきますが、宣伝コピーに「中国で2週連続興収入No.1」とありますので、アン・ランが最後にどういう...
グルメエリート批判?奉仕する者とされる者? 予告編を見れば、内容はわからないまでもおおよその傾向は想像がつきますので、まあパスやねと思っていたのに魔が差したように劇場の予約サイトをポチッとしてしまいました(笑)。ザ・メニュー / 監督:マーク・マイロッドブラック・コメディ?なぜこんな映画を作ろうとしたのかに一番興味があ...
サバイバル×恋愛×リーガルドラマ、物語の背景が新鮮で面白い 「ザリガニの鳴くところ」って、どういうことなんだろう? と、まずタイトルに惹かれます。アメリカのディーリア・オーエンズさんの同名タイトルの小説『Where the Crawdads Sing』が原作とのことで、日本では2020年に翻訳されて2021年の本屋大賞「翻訳小説部門」の第1位に選ばれていま...