70年代風劇画の影がちらつく男の恋愛妄想 真利子哲也監督ということだけで見に行った「宮本から君へ」、変わったタイトルだなあくらいの軽い気持ちだったんですが、見終わってみれば、こんなの今どき受けるのかなあという疑問と、個人的にはどことなくいやーな感じが残る映画でした。宮本から君へ / 監督:真利子哲也そんなことを考えながらエンドロールを見ていましたら「...
バート・レイノルズファン御用達、男の癒やし映画 バート・レイノルズさん、もちろん名前は知っていますし、顔を見れば、ああこの俳優さんかとわかりますが、おそらく映画は見たとしてもすべてDVDだと思いますのであまり記憶はありません。昨年2018年9月6日に82歳で亡くなられているんですね。この映画は、ちょうど1年後の今年9月6日を劇場公開日にしているようです。...
女性指揮者アントニア・ブリコの半生を描く 原題の「De dirigen」はオランダ語で「指揮者」とのこと、英語タイトルもそのまま「The Conductor」、なのに邦題は「レディ・マエストロ」、逆説的に言えば、この邦題が最もこの映画のテーマを表現しているということになります。レディ・マエストロ / 監督:マリア・ペーテルスエンドロールに、2017年...
伊坂幸太郎原作、今泉力哉監督、斎藤和義音楽の恋愛ドラマ 今泉力哉監督、公式サイトに「恋愛群像劇の名手」というコピーで紹介されていますが、確かに、私が見た「知らない、ふたり」も「愛がなんだ」も恋愛群像劇ではありました。その二作に比べますと、あまり出来はよくありません。おそらく問題はシナリオですね。アイネクライネナハトムジーク / 監督:今泉力哉この映...
13歳リアルな青春ということなんだろうけど… やたら評判がいいことと、宣伝コピーの「SNSと共に生きる私たちの「いま」をヴィヴィッドに描き出し、全米で社会現象を巻き起こした痛くて優しい感動作!」を見て興味を持った映画。エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ / 監督:ボー・バーナムあるいは、同年代の小中学生が見て、映画の中に自分がいると感じる子ど...
人種差別の複雑な内面化を描く 差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...
二大スター共演もバディムービーにもならず… タランティーノ監督のつくる映画の特徴は、話は単純なんだけれども、いろいろ知っていないと面白さがわからないというところだと思います。この映画もそうで、シャロン・テート事件を知っているくらいでは映画についていけません(笑)。ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / 監督:クエンティン・タランティーノ落ち目の...
オダギリジョー初監督作品だが… オダギリジョーさんが映画を撮るという話は、「宵闇真珠」を見た時に知ったのですが、この映画がそれですね。昨年2018年7月2日の記事です。ある船頭の話 / オダギリジョーキノフィルムズの製作です。と書いても、キノフィルムズの実態を知っているわけではありませんが、一観客の立場でも最近のキノフィルムズ配給の多さにはびっくり...
新井浩文事件を乗り越えて公開なるも、これかい? 新井浩文さんの件でかなり苦労して公開にこぎつけたようです。下の画像も撮り直したものでしょうし、様々なところで名前が目立たなくしてあります。で、この「台風家族」を見ることになったのは、その新井さんの件ではなく、市井昌秀監督の名前を見ていて、ん? 以前なにか見たことあるぞと気になり、このサイト内を検索してみましたらありま...
ジョージアの神話的、かつ寓話的な美しい映画 とにかく美しく、神話的で、それでいてといいますか、それだからこそですが、現代文明批判といいますか、環境破壊への批判的メッセージが感じられる映画です。ジョージアのザザ・ハルヴァシ監督の2017年の作品、その年の東京国際で上映されたようです。聖なる泉の少女 / 監督:ザザ・ハルヴァシこの映画の主演、ナーメを演じ...
ジャ・ジャンクー監督、「青の稲妻」「長江哀歌」、そしてどこへ? 2001年から2017年という17年間の時代の変化を背景にした男と女の、ではなく女と男の愛の変遷、言い換えれば女と男の意地の張り合いが描かれます。前作の「山河ノスタルジア」も1999年に始まり、2014年、そして2025年と2000年代を時代背景としていましたので、およそこの20年が、中国という国の変...
菅田将暉、太賀、YOSHIの怒りは今に通じるか これを今作りますか!? って感じの映画です。「怒り」と「暴力」しかありません。タロウのバカ / 監督:大森立嗣ああ、逆に今なのかな?ある意味、怒る相手が見えなくなっている今、怒り続けるしかない、怒る自分が消えてなくなるまで、怒り続けるしかないということかも知れません。大森立嗣監督、過去の作品一覧を...
人の心情を描かずして悲劇は描けるか 原題は単に「Petra」なのに、「ペトラは静かに対峙する」なんて邦題をよく考えついたものだと思います。それだけ配給の担当者の思い入れが強いということなんでしょうか。監督は、現在49歳くらいのスペインのハイメ・ロサレス監督、公式サイトによりますと日本での公開は初めてですが、2000年代から活躍されており、本作で6作目とのことです。...
90歳の現役セックスセラピスト ドクター・ルースの人生 「アメリカで最も有名なセックス・セラピストであり、司会者、作家として活躍」(公式サイト)するルース・ウェストハイマーさんを伝記的に追ったドキュメンタリーです。ルースさんの人生そのものが映画です。おしえて!ドクター・ルース / 監督:ライアン・ホワイト現在91歳、アメリカでドクター・ルースと呼ばれ...
作家役のリリー・ジェームスが好印象 映画らしい映画、というのも変ですが、構成がしっかりしていますし、謎解きあり、恋愛ありで、最後はちょっと収め過ぎくらいにきっちりオチがついています。映画の原題「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society」と同名の原作があります。 ガーンジー島の読書会 (上)作者...
ホセ・ムヒカ元大統領も登場するモキュメンタリー こういうタイトル付けに象徴されるおバカ系(を思わせる)映画は結構趣味なんですが、これはちょっとシラフ(笑)で見て大笑いするのは無理ですね。ハッパGoGo 大統領極秘指令 / 監督:デニー・ブレックナー, アルフォンソ・ゲレロ, マルコス・ヘッチ企画は面白いけれども映画の作りに乗り切れないということかと思い...
R18+の大人のアニメかも?と思う男の妄想ファンタジー 後半に入り、そろそろ結末やなあ、どうするんだろう? と思っていましたら、ん? 何だって? ジョーク? え!? マジ!みたいな思わぬ展開に、そういう話だったのねと、そもそもの男女ファンタジーに、60年代(70年代?)的四畳半ファンタジーが加わり、妙に納得できる映画でした。火口のふたり / 監督:荒井晴...
「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督、カンヌ主演男優賞、パルム・ドッグ賞 なかなか掴みづらい映画でした。「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督の最新作ですが、その後の「リアリティー」は劇場公開されず、「五日物語 3つの王国と3人の女」は毛色の違うファンタジーで、これを劇場公開するのなら「リアリティー」もしてよというような出来でしたので、ちょっとばかり期待の「ドッグマン」...
エルトン・ジョンがミュージカルになる! が、ドラマは凡庸。 音楽ものはやっぱりドルビー・アトモスで見たほうがいいですね。特にこの映画は音楽以外に見るべきところがありませんので(ペコリ)。これ、批判というわけではありません。音楽が良くってそれで映画が持てば、それはそれでいいのだと思います。ロケットマン / 監督:デクスター・フレッチャーエルトン・ジョン...
セルビアの鉄道運転士は死者のために花を育てる この映画はどんな映画? と聞かれたら、全体的なトーンとしては「アンダーグラウンド」っぽく、物語のベースは「人情もの」で、主演のキャラクターの矜持の有り様が「健さん」的と、そんなふうに答えるのがいいかと思います。鉄道運転士の花束 / 監督:ミロシュ・ラドヴィッチいや、イリヤの鉄道運転士としての矜持の持ち方は健...