原題は「Little Kingdom(小さな王国)」、邦題に惑わされず見れば寓話的か、コメディか…えらく情緒的なタイトルである上にメインビジュアルが男女の濃厚なキスシーンという映画がひっそりと公開されていました。2019年のスロバキア映画です。未来は裏切りの彼方に / 監督:ペテル・マガート邦題に惑わされないように…...
こんな話を書けるのは、2023年現在の日本の社会環境においては女性しかいません(笑)。特に期待を持ってというわけでもなく、広瀬すずさん、久しぶりだなあなどと思いポチッとしてみました。と思ったのですが、何年ぶりだろうと出演作をみてみましたらちょうど1年前に「流浪の月」を見ていました(笑)。水は海に向かって流れる / 監督:前田哲...
概念と表層で戯れる…「ミヒャエル・ハネケ監督に師事したC.B. Yi監督」の宣伝文句でポチッです。若い監督かと思いましたら、意外にも1976年生まれの47歳の監督です。映画は2021年の製作でその年のカンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されています。「母の聖戦」「アフター・ヤン」「母へ捧げる僕たちのアリア」「LAMB ラム」「ONODA 一万夜を越えて」が...
チャニング・テイタムとKylie Sheaのデュエットは見応えあるが…久しぶりのスティーブン・ソダーバーグ監督です。「コンテイジョン」以来ですので12年ぶりに見ました。ですので、この「マジック・マイク」がシリーズものであり、また、この映画が三作目であることも今回知ったわけです。過去二作ともに興行成績もかなりよく人気シリーズみたいです。...
畑芽育さんで若干救われていますが、つじつま合わせの脚本が難この「森の中のレストラン」が長編デビュー作の泉原航一監督、「ゲートキーパー」という言葉を知ったことから生まれた映画だそうです。ただ、脚本は幸田照吉さんとなっており泉原監督の名前は入っていないです。デビュー作の脚本に監督の名前が入っていないというのは珍しいような気がします。...
もっと超越した映画を。「月刊「根本宗子」」という本人名を劇団名にしている劇作家、演出家、脚本家、女優の根本宗子さんの舞台作品の映画化です。映画化のシナリオも根本さん本人が書き、監督は山岸聖太さんという方です。もっと超越した所へ。 / 監督:山岸聖太演劇的な、あまりに演劇的ななぜ映画にしようとしたんでしょう、あまりに演...
原作漫画を絵コンテにそのまま撮ったようだ平庫ワカ著『マイ・ブロークン・マリコ』という漫画が原作です。タナダユキ監督、向井康介脚本ということで見てみました。マイ・ブロークン・マリコ / 監督:タナダユキ原作を絵コンテにした映画原作の試し読みがあり、シイノトモヨ(シイちゃん)がマリコの遺骨を盗んで窓から飛び出すところまで...
即興性とドラマ性のバランスの良さギヨーム・ブラック監督の最新作、といっても2020年の映画「みんなのヴァカンス」です。あわせて特集上映ということで過去のほとんどの作品が上映されています。「遭難者 女っ気なし」「やさしい人」「7月の物語 勇者たちの休息」「7月の物語」とこの映画の間にもう一本「宝島」というドキュメンタリーがあるのですが、劇場...
1階は性衝動、2階は苦悩、3階は抑圧、そして開放「息子の部屋」「ローマ法王の休日」「母よ」のナンニ・モレッティ監督です。昨年2021年のカンヌ映画祭のコンペティションに出品されています。受賞はありませんでした。「TITANE/チタン」がパルムドールに選ばれた年ですから、この映画の傾向じゃそりゃ無理でしょう。3つの鍵 / 監督:ナ...
プラハの春の時代の宗教物語、あるいは脱宗教か?1967年製作のチェコスロバキア(現在はチェコ共和国)の映画です。監督はフランチシェク・ヴラーチルさんという方で1999年に75歳(くらい)で亡くなっています。日本初公開とのことですが、なぜ今この映画か、発掘してきた方に聞いてみたいですね。と思ったんですが、IMDbを見ましたら、2000年代に入ってか...
悪魔的な暴力が観念的な描写で多くは伝わらず映画には見る側にある一定程度の共通する現実意識がないとその良さが伝わってこないものがありますが、この映画もそのひとつです。2020年のサンダンス映画祭で観客賞と審査員特別賞を受賞しています。監督はメキシコのフェルナンダ・バラデスさん、現在40歳くらいの方で、この映画が長編デビュー作のようです。[t...
サリンジャーと過ごしたジョアンナ・ラコフさんの日々作家になることを目指す20代の女性がニューヨークの老舗出版エージェンシーのカリスマ上司の元で日々奮闘して成長していくという物語です。ジョアンナ・ラコフさんの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』が原作です。文学とファッションと業界は違いますが、「プラダを着た悪魔」もローレン・ワイズバーガーさんの体験...
難民問題というよりも17歳サーリャの絶望の物語日本で2020年に難民と認められたのは、難民申請した3,936人のうちわずか47人です(出入国在留管理庁2021/3/31発表による)。クルド人の家族、父親と子どもたち3人の物語です。父親は難民申請をしていますが不認定となり在留資格(言葉の使い方は正確ではない)を失います。子どもたちは日本で育ち、さら...
先進国による途上国への労働搾取と男性による女性差別初めてバングラディシュの映画を見ました。ただ、この映画はバングラディシュ国内の制作環境で撮られた映画ではなさそうですし、映画のターゲットも国内ではなく欧米だと思います。IMDbのデータでは、映画祭にしろ一般公開にしろ、インドの映画祭を除いて欧米と日本での上映だけです。バングラディシュの映画事情に関...
ジェシカも話も現実的なのに物語は不可解な映画「ブンミおじさんの森」以来のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督です。相変わらずの誘眠(催眠)映画でした。MEMORIA メモリア / 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン予想に反してかなりリアルな世界「ブンミおじさんの森」しか見ていない上に細かいところはほとんど記憶...
深層なき愛憎うずまく青春音楽物語かな塩田明彦監督の映画を初めて見ました。すごいですね。先が読めないですし、その先はと言えばとんでもないことのほうが多いのですが、ああ、こういうこともあるかもしれないなあと妙に納得がいきます。青春音楽映画のようにもみえますが、「青春」にも「音楽」にも甘えていないところがいいです。麻希のいる世界 / ...
面白い!沖縄コザ舞台のタイムスリップ&入れ替わり映画これ、むちゃくちゃ面白いですし、泣けますし、感じますし、つくりもうまいです(多分、結果として)。脚本、監督の平一紘さんって誰?ミラクルシティコザ / 監督:平一紘沖縄の沖縄による、日本全国のための映画この映画は、第3回未完成映画予告編大賞でグランプリを受賞した作...
批評性のない社会派映画は見ていてつらい久しぶりに後味の悪い映画を見ました。いや、後味だけではなく中味(そんなものはないから途中の味?)もです。映画の中で起きることに対してというわけではなく、そもそもの制作者たちの価値観がとても気になります。映画の、ひいては制作者の価値観が気持ち悪い性的暴行を許容しているかのようホラー映画のようなセットはな...
カーワ、覚醒す。乾いた戦争映画のリアル戦争映画のジャンルに入るんだろうとは思いますが、ちょっと違った感じの映画です。こうした戦争映画で面白いというのもなんですが、とにかくちょっと変わっていて面白い映画です。モスル~ある SWAT 部隊の戦い~ / 監督:マシュー・マイケル・カーナハン映画の背景アメリカ映画だがすべてアラビア語ネタバレあらすじ前半...
権力は真実を黒塗りにする。どの国でも、いつの時代でも。2021年の今、アメリカが正義の国などと信じている人はいないと思いますが、少なくともこういう映画がつくられる国ではあります。2001年のアメリカ同時多発テロをうけ、ブッシュ政権が、容疑者の名のもとに法にもとづかない方法によって多数のイスラムを長期拘束し、拷問まで加えて自白を強要していた事実を暴いています...