スロベニアの美しき栗の森とそこで生きる人間の挫折、悔恨、あるいは希望…スロベニア映画です。あまり馴染みがない国で地図上の位置もぼんやりですのであらためて確認してみました。1992年まではユーゴスラビア社会主義連邦を構成していた共和国で、西はイタリア、北はオーストリアに隣接する国です。ユーゴスラビアといいますとどうして1990年代の内戦が頭に浮かん...
現代的ジェンダー観で描く1930年代風スクリューボール・コメディ…フランソワ・オゾン監督の多作さと多彩さには驚くばかりです。1年1本ペースですし、内容もシリアスもの、告発もの、そしてこの映画のようなコメディと幅広く、とにかくすごい監督です。今年日本で公開された映画はこれで3本目です。2021年製作の「すべてうまくいきますように」、2022年製作の...
オペラの映画化で一番やってはいけないパターンこの映画の配給会社は映画の内容を偽って売ろうとしているんじゃないかと思っちゃいますね。不当表示に引っかかりませんかね。ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌 / 監督:レイン・レトマーオペラの映画化で一番やってはいけないパターンまあ怒りはともかく、これはミュージカルではありま...
仕事は失敗しても、筋違いともいえる復讐は完璧にこなす殺し屋の物語…Netflix というのは監督に自由に撮らせてくれるのでしょうか、完璧主義者と言われるデヴィッド・フィンチャー監督は Netflix 以外では撮らなくなっています。2020年の「Mank マンク」以降4年間の独占契約を結んでいるそうですし、それ以前も2014年の劇場公開作「ゴーン・ガール」...
不死身ではなく、死ぬことを拒否した…に大ウケフィンランドのアクション映画です。普段アクションものに興味を持つことは少ないのですが、フィンランド映画であることと、そしてもうひとつ、予告編のある台詞がツボにはまってしまったからです(笑)。SISU/シス 不死身の男 / 監督:ヤルマリ・ヘランダー死ぬことを拒否する…そ...
ABYSSとは海への一泊旅行のことかと思ってしまうのだが…「逆光」ではかなりいい印象を持った須藤蓮監督と脚本渡辺あやさんによる二作目です。ABYSSとは「深いふち,底の知れない深い穴,混沌(Weblio)」という意味とのこと、果たしてその深さは描かれているのでしょうか。ABYSS アビス / 監督:須藤蓮ABYSSとは、...
神はいない。そう考えるのが人間の義務であり、その時初めて自分が何者であるかに責任が持てる。1993年に製作され、その年のヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞を受賞したオーストラリア映画です。映画.com によれば、当時日本では劇場公開はされなかったものの「アブノーマル」というタイトルで VHS が発売されたそうです。日本では今回が劇場初公開です。...
松岡茉優さんと窪田正孝さんのバーのシーンは必見!愛にイナズマが走ります。先日「月」を見たばかりの石井裕也監督ですが、こちらはオリジナル脚本のコメディらしく、きっとぴったりはまった面白い映画になるでしょう。それに、主演は松岡茉優さんと窪田正孝さん、どちらもうまい俳優さんですので間違いないと思われます。愛にイナズマ / 監督:石井裕...
イザベル・ユペールさん、出ています!私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰? / 監督:ジャン=ポール・サロメイザベル・ユペールさん、出ています!映画…この映画を宣伝するコピーがあるとすれば「イザベル・ユペールさん、出ています!」しかないないでしょう(笑)。邦題になっているモーリーン・カーニーさんがどんな人かも語っていませんし...
差別、偏見、欺瞞が渦巻く17分、「福田村事件」にはない現実感「4ヶ月、3週と2日」「汚れなき祈り」「エリザのために」のクリスティアン・ムンジウ監督、2022年の最新作です。ムンジウ監督はこの映画の前にはジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(ダルデンヌ兄弟)監督やミシェル・フランコ監督とともに「母の聖戦」のプロデューサーに名を連ねています。...
この映画、トレーラーがよくできています(笑)。メドゥーサ デラックス / 監督:トーマス・ハーディマンカメラはメドゥーサの蛇のように…年に一度のヘアコンテストでひとりのヘアスタイリストが頭皮を剥がれて殺されたという設定で、一体犯人は誰だとカメラが会場内をワンカット(ワンショット)で、それこそメドゥーサの蛇のように狭い廊下...
注目されたい病のシグネはどんな夢を見ているのでしょう…ノルウェーの映画です。これが長編2作目のクリストファー・ボルグリ監督です。2022年のカンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されています。次回作が A24 の製作で決まっているとありましたので IMDb を見てみましたら、もう今年の9月頃から各映画祭で上映され、一般公開も決まっているようです。タイトルは「...
音楽映画なのに、物語に音楽が絡んでこないもどかしさ…岩井俊二監督の映画を見るのは、初期の「Love Letter」「PiCNiC」「スワロウテイル」以降、2020年の「ラストレター」までその間がすっぽり抜けています。そのせいもあるのか「ラストレター」では「Love Letter」とつながってしまい「構成力はさすがです。が、今だにこんなに叙情的、かつ感傷的...
あなたは現実を見てみぬふりをしているだけだと、言えば言うほどさとくんに近づいていく…このところ見る映画の邦画比率が無茶苦茶高くなっています。それだけ見たいと思う海外の映画が入ってこなくなっているということだと思います。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアあたりの映画祭の受賞作じゃないと客が入らないということなのかも知れません。いや、受賞作であってもさほど入って...
映画「アンダーカレント」は 心の undercurrent に迫れているか…それなりに何本か見ている今泉力哉監督ですが、「街の上で」あたりでもういいかなと思いそれ以降あまり気にかけていなかったところ、主演が真木よう子さん、井浦新さんという大人の映画のようでしたのでもう1本ということになりました。以下、読み返してみましたら書きすぎ...
月にロケットを飛ばす国の女性記者たちはスマートフォンひとつで社会を変える…インド北部のウッタル・プラデーシュ州の「カバル・ラハリヤ」という新聞社&ネットメディアを追ったドキュメンタリーです。その団体を立ち上げたのがダリトの女性たちということらしく、さてダリトとはなんなんでしょう…。燃えあがる女性記者たち /監督:リントゥ・トー...
惜しい!面白いネタなのに間合いが悪くパワーが足りない…池松壮亮さんが二役を演じているらしいです。あの独特の台詞回しが消せるのか、あるいはそれが利用されているのか、興味のわく映画です。監督は冨永昌敬監督、数本見ているのですが映画自体はあまり記憶に残っておらず「ローリング」の三浦貴大さんと柳英里紗さんが印象に残っているくらいです。白...
熊はまぼろし、恐れることはない…ジャファル・パナヒ監督、2018年の「ある女優の不在(3 Faces)」以来です。2010年頃からイラン政府によって拘束されたり、逮捕されて有罪判決が下されて収監されたりが続いているのですが、現在はどうなっているんでしょう。熊は、いない/ノー・ベアーズ / 監督:ジャファル・パナヒ撮り終え...
バラエティ映画…今週公開の映画をなにか見ようと消去法で「まなみ100%」を選んでしまった際に消去されたのがこの映画です。でも、結局見ることにしました。BAD LANDS バッド・ランズ / 監督:原田眞人バラエティ映画…主演が安藤サクラさんということで捨てきれなかったということなんですが、その安藤サクラさんはとも...
青春とは所詮ダラダラしたものではあるが…今週公開された映画をなにか見ようと思い消去法でポチッとしてしまった映画です。まなみ100% / 監督:川北ゆめきこれが今どきの100%?この映画を撮った人、また、この映画を見て感情移入できる人が「卒業」なんて映画を見たら、きっとベンジャミンはあぶない人に見えるのでしょう。...