アクションに走りすぎて肝心の人物描写がない… 吉田修一さんの『鷹野一彦シリーズ』3部作のうち、2011年に月刊誌に連載された『太陽は動かない』と、その後書き下ろしで2015年に発刊された『森は知っている』の2作を原作としてます。ちなみに3作目の『ウォーターゲーム』は2作めに続いて2015年から2016年にかけて新聞連載されています。その頃から映画化の話が持ち上がっ...
女性たちは軽やかに階層社会を超える 「あのこは貴族」とのタイトルから漫画原作のラブコメだろうとスルーしていたのですが、ちらちらと目にする細切れ情報からどうも違うようだと思い直し見てみましたら、ふたりの俳優に現代的な存在感のあるいい映画でした。あのこは貴族 / 監督:岨手由貴子女性たちは軽やかに階層社会を超える想像力を刺激するネタバレあらすじとちょ...
音楽と俳優でみせる映画、深くはないけど楽しい いい音楽といい俳優がいれば映画は成り立つという典型でしょうか。もちろん、コメディやファンタジーに限ってのことであり、シリアス系であれば当然それらとともに監督なりつくり手の視点が問われることになりますのでこの限りではありません。ステージ・マザー / 監督:トム・フィッツジェラルドこの映画はいわゆるファンタジ...
涙なき難病ものは舞台劇の原作ゆえか 難病で死期が近い少女のラブストーリーです。え、またか?!というくらいポピュラーな題材ですが、ちょっと雰囲気が違っており、感動ものを期待していきますと物足りないかもしれません。泣ける場面はありません。ベイビーティース / 監督:シャノン・マーフィBabyteeth=乳歯の意味するもの 涙なしの難病ものから何がみえ...
センスもよく、遊び心もあり、美しい 楽しい映画でした。そしていい映画でした。このところ押し付けがましいドラマばかり、特に日本映画なんですが、物語を説明的に語る映画を見ることが多く、それらに比べてこの映画はとても新鮮で、あれこれ考えながら見られるとても楽しい映画でした。わたしの叔父さん / 監督:フラレ・ピーダセンドラマは見る者の心の中に生まれる酪...
中華料理(薬膳)は文化の壁を越える? 中国市場向けにつくられた映画か(多分そう)と思うほど中華料理が持ち上げられています。その点ではちょっとやり過ぎかなと思いますが、ラップランドの自然の中で料理を通してフィンランドと中国の価値観の接点が生まれるという映画です。世界で一番しあわせな食堂 / 監督:ミカ・カウリスマキミカ・カウリスマキ監督ネタバレあらす...
アイドルオタクの真髄を見たかったのに… 松坂桃李主演、今泉力哉監督の青春物語とありましたので見てみるかと、ただハロプロというものも知りませんでしたので(笑)ちょっとだけ調べて、ああ、モー娘。ねなどと軽い気持ちで見に行きましたら…こんな話だったのね。あの頃。 / 監督:今泉力哉アイドルオタクの話でした。あまり弾けない...
映画に隙きはないが味わいも薄い 天野千尋監督の映画は短編を2本見ているだけですが、映画づくりがうまくて隙がない印象です。この映画もその印象どおりでした。ミセス・ノイズィ / 監督:天野千尋映画に隙きはない…が、ネタバレあらすじとちょいツッコミ(なし)説明的で味わいがない映画に隙きはない…が、基本は三幕構成的であり、オチもきっちりついていま...
エピソードつなぎの安易なドラマになっていないか… 西川美和監督、ついに原作ものか?!と思ったのですが、正直、これまでの自作のオリジナル脚本との違いはあまり感じられませんでした。いい意味で言えば、もともときっちりした脚本の存在が感じられる映画を撮る監督ですので、この映画でも原作に納得し、それを完全に自分のものにして脚本を仕上げたんだろうと思います。すばらしき...
リーガル・サスペンスを期待してはいけない。フランスの特殊な裁判の映画。 結局、最後の最後まで(意図が)よくわからない映画でした。法廷劇を期待して見に行きますと面食らいますよ。私は確信する / 監督:アントワーヌ・ランボー死体もないのに殺人罪?ネタバレあらすじもっとやるべき映画があるでしょう死体もないのに殺人罪?そもそも争われる事件が、死...
犬はパンツをはかない、この邦題なら興行収入倍増だったのに 面白い映画ですね。原題は「Hundar har inte byxor」で、Google翻訳ではスウェーデン語とでますがフィンランドの映画です。英語タイトルは「Dogs Don't Wear Pants」です。「犬はパンツをはかない」あなたは犬なんだからパンツを脱ぎなさい、というニュアンスなんですが、なぜ...
コメディ、アイロニカル、シュール、パレスチナ、あるいは世界の現実? エリア・スレイマン監督、初めて見ました。パレスチナの映画と言いますと、ハニ・アブ・アサド監督の「パラダイス・ナウ」や「オマールの壁」といった対イスラエル視点の映画を思い浮かべますが、この「天国にちがいない」はちょっと違っています。天国にちがいない / 監督:エリア・スレイマンクスッ...
サスペンス、オカルト、スリラー?よくわからんけどD級かな まあなんともうるさい映画ですね。全編、音楽やら効果音で煽ったり驚かせようとしています。が、成功していません。ダニエル / 監督:アダム・エジプト・モーティマー音付けはゲームみたいなもの? ネタバレあらすじとちょいツッコミ二世俳優音付けはゲームみたいなもの? ゲームはしませんので...
映画のつくりやカメラワークが洗練されている 映画らしい映画です。プロの技みたいなものも感じます。ペマ・ツェテン監督、初めて見ました。フィルメックスでは過去の作品も何本か上映され、この「羊飼いと風船」を含め3度の最優秀作品賞を受賞しているようです。また、今年の3月には岩波ホールで「チベット映画特集」があり、ペマ・ツェテン監督の作品も「オールド・ドッグ」と「タルロ」...
改憲誘導を意図すれど俳優は踊らず 宮沢りえさんと浅野忠信さん主演の映画でしたので見に行ったんですが、映画のつくりはともかく、内容(主張?)にやや胡散臭さが感じられ、これは一体どういう映画なんだろう?と調べてみましたら…日本独立 / 監督:伊藤俊也改憲誘導映画か?ネタバレあらすじとちょいツッコミ日本国憲法成立の過程戦艦大和ノ最期 映画の質は低...
なぜ今ヤクザの世界に擬似家族をみようとするのか?! なんだか映画.comやFilmarksなどのレビューサイトでは評価が高くなりそうな映画だなあと思いながら見ていたのですが、今、映画.comを開いてみましたらやっぱりかなり高いです(笑)。ヤクザと家族 The Family / 監督:藤井道人「情」に中身がないネタバレあらすじとちょいツッコミ1999...
イ・ビョンホン主演の実録ものだが、乾いたノワールものに 韓国の大統領朴正煕(パク・チョンヒ)暗殺事件までの40日間を描いた実録ものです。ただ、公式サイトには暗殺したKCIA部長の名前がキム・ギュピョンとありますし字幕もそうなっていました。実際にはその部長の名前は金載圭(キム・ジェギュ)ですので、これはフィクションだよっていう意味なんでしょうか。大統領の方も「パク大統...
ギャスパー・ノエ監督、画を点滅させるも心は点滅せず サンローランのアートプロジェクト「SELF」の一環として制作された映画とのことです。監督本人がインタビューで、サンローランのクリエイティブディレクターのアンソニー・ヴァカレロさんから「何か一緒に作品を作りませんか?」と提案されたと語っています。ルクス・エテルナ 永遠の光 / 監督:ギャスパー・ノエ ...
バディもの、BLものとしてつくるべきだと思うよ 日本のミステリーはどんなもんか? と思って見た映画。でもないのですが、見る映画もないし日本の映画はないかなと映画.comを見てみましたら最初に出てきましたので選びました(笑)。さんかく窓の外側は夜 / 監督:森ガキ侑大原作とトーンが違うんじゃない?ネタバレあらすじとちょいツッコミ音楽で煽る演出...
市民ケーンの脚本家マンクをゲイリー・オールドマンが演じる オーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」(1941年)の内容やその裏事情を知っていないとわかりにくい映画です。昨年の12月4日からNetflixで配信されているようです。映画を配信で見る比率が高くなっているとのニュースを見かけるようになりました。私は集中できなく無理ですが、ただこういう映画は配信のほうが調べな...