女性蔑視じゃないか…、と書評に続き、またも書き過ぎたか… 石井裕也監督は日本の映画監督の中ではかなり多作な監督だと思います。2009年の「川の底からこんにちは」をメジャーデビュー作としますと、この「本心」まで15年間で14作撮っています。1年1本ペースです。それだけ評価が高く、あれこれ声がかかるということなんでしょう。本心 / 監...
「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」と書いたけど、撮りましたね… 「僕はイエス様が嫌い」の奥山大史監督、その映画を見たのはちょうど5年前です。レビューを読み返してみましたら「びっくりするくらい映画がまとまっています。若いのに老成という言葉まで浮かんで」くるとまで書いています。それに「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」とも...
パキスタン系イギリス人のムスリムたちはどんだけ裕福なんだ?… え?! こんな映画だったの?映画.comの「ムスリムの姉妹を活写したイギリス初の青春バトルアクション」だけが目に入り、面白いかもと見に行った自分のせいです(涙…)。ポライト・ソサエティ / 監督:ニダ・マンズールボリウッドかと思った…予想していた...
ボレロ、ラヴェル、二兎を追うものは一兔をも得ずか… モーリス・ラヴェルの伝記ものです。監督はアンヌ・フォンテーヌさん、私が過去に見ているのは「夜明けの祈り」ですが、「ココ・アヴァン・シャネル」のほうがよく知られているかもしれません。ボレロ 永遠の旋律 / 監督:アンヌ・フォンテーヌラヴェルと言えばボレロだが…タイト...
ボストン行きまでが長ーい長ーい前置きに感じられる… 「サイドウェイ」や「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」では味のある大人の映画を撮る監督だと思っていたのが、前作ではなんとも奇妙なSFファンタジー「ダウンサイズ」で大失敗(個人の意見です…)というアレクサンダー・ペイン監督です。ただそれももう7年前、久しぶりという感じがします。ホー...
母親畏怖、罪の意識、だと思うが、映画そのものはくどい… 「ヘレディタリー 継承」では、金返せぇぇぇぇぇぇぇー!と叫び、「ミッドサマー」では、陳腐なことも陳腐とわかってやればホラーもコメディーになる、なんて茶化しておきながら(いや、真実…)、また見てしまいました(笑)。ボーはおそれている / 監督:アリ・アスター母親畏怖、母...
ジェシー・アイゼンバーグ初脚本監督作品、世代間ギャップが母子関係でシンプルに描かれている… 「ゾンビランド」「ゾンビランド ダブルタップ」のジェシー・アイゼンバーグさんも、はや40歳、この映画の脚本監督です。本当は「イカとクジラ」の、と書こうと思ったのですが、この映画のプロデューサーにエマ・ストーンさんの名前を見たために「ゾンビランド」になりました...
美食家なる言葉が存在する19世紀のフランス、トラン・アン・ユン監督はなにを描こうとしたのか… トラン・アン・ユン監督、えらく久しぶりです。監督としては2016年の「エタニティ 永遠の花たちへ」以来の7年ぶりです。監督以外では、その間に「第三夫人と髪飾り」の美術監修と「走れロム」の製作にクレジットされています。いずれにしても寡作の監督です。という久し...
アントワーヌ・レリスさんの著書『ぼくは君たちを憎まないことにした(Vous n’aurez pas ma haine)』の映画化 2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ事件の標的のひとつ、バタクラン劇場で妻を亡くしたアントワーヌ・レリスさんの著書『ぼくは君たちを憎まないことにした(Vous n'aurez pas ma haine, You Wil...
アナクロ的母娘ものファンタジー、原作を読んでみたらそのとおりだった 公開時、気にはなっていたのですが優先順位で結局見なかった映画です。主演は戸田恵梨香さんと永野芽郁さん、監督は廣木隆一さん、原作は湊かなえさんです。母性 / 監督:廣木隆一戸田恵梨香さんと永野芽郁さんDVD視聴ですからなんとも言えませんが、感想として...
ほつれるではなく、そもそも結び目もないですし、キレて切っただけ… ちょうど1年前に見た「わたし達はおとな」の加藤拓也監督の長編2作めです。その映画では、映画的じゃないとか、映画に技術が足りないとか、女性への悪意があるとか、相当辛辣なことを書きましたのでとても記憶に残っています。ただ、記憶に残っているのはそう書いたことであり、映画そのものではありませ...
絶望の香港か… 「私のプリンス・エドワード」に続いて香港映画です。こちらの製作年は2022年、映画の設定はほぼ撮影時期と思われる2020年、新型コロナウイルスによって世界中が騒然としていた頃の物語です。星くずの片隅で / 監督:ラム・サム絶望の香港か…びっくりします。希望も何もあったもんじゃない話です。一般...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督です。出演はその映画にも出ていたティモシー・シャラメさんと「WAVES ウェイブス」のテイラー・ラッセルさんです。ルカ・グァダニーノ監督が昨年2022年のベネチア国際映画祭で銀獅子の最優秀監督賞、そしてテイラー・ラッセルさんが新人俳優賞であるマルチェロ・マストロ...
クリスチャン・ベール主演のミステリーだが、さすがにこれはひどい! Netflix の劇場先行上映です。このパターンが多くなってきている印象ですが、これで定着していくんでしょうか。クリスチャン・ベール主演のミステリーです。若き日のエドガー・アラン・ポーが登場します。ポーを演じているのはハリー・メリング、1本も見ていないのでわかりませんが、ハリー・ポッ...
ノア・バームバック監督のセンスが光るポストモダン混乱映画(笑) 「マリッジ・ストーリー」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」「フランシス・ハ」のノア・バームバック監督の最新作です。前々作「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」前作「マリッジ・ストーリー」に続いて今回もNetflix製作です。Netflix製作配信の映画が多くなっています。ただ、ここ最近は事前に...
90分全編ワンカットでみるレストランオープントラブルもの 90分ワンカットが売りの映画です。何年かに一度全編ワンカットにとらわれた映画制作者が現れます。映画制作者にはひきつける何かがあるようです。ボイリング・ポイント/沸騰 / 監督:フィリップ・バランティーニ全編ワンカットの魅力とはあらためて言うまでもなく、全編フイル...
暗殺者は身近な者の顔でやってくる 他人の体を乗っ取って殺人を犯す殺し屋の話です。監督はブランドン・クローネンバーグさん、その名前から想像できるとおり、デヴィッド・クローネンバーグ監督の息子さんです。1980年生まれですから42歳くらいということになります。私は見ていませんが、2013年に「アンチヴァイラル」という映画で長編デビューしています。この映...
翻訳家の男の存在感が足りません。ミスキャストでしょう。 もう2年前になりますが、この映画の監督の前作「黒四角」をDVDで見て、こういう映画をきっちり撮れる監督が日本にもいるんだ(劇場公開される映画でという意味)と興味を持ち、さらにさかのぼって宮﨑あおいさんとARATA(当時)さんの「青い車」まで見てしまったという奥原浩志監督の最新作です。2年前とい...
脚本,監督,主演のヴァレリー・ルメルシエのパフォーマンスがすごい 何を見ようかと映画.comの上映欄を見ていましたら、音楽映画なのに(音楽映画にハズレはないという意味)あまり良い評価もなく、期待せず見に行ったのですが、これ、面白いです。全編音楽がふんだんに使われていますが、音楽映画というよりも、脚本、監督、主演のヴァレリー・ルメルシエさんの何がした...
ラブホテル舞台の昭和的ホームドラマみたいな映画 2020年11月、ちょうど一年くらい前に公開された映画です。原作は2013年上半期直木賞受賞作、桜木紫乃さんの短編小説集『ホテルローヤル』です。ホテルローヤル / 監督:武正晴原作の評価は高いようだ映画はベタベタネタバレあらすじ廃墟の「ホテルローヤル」雅代、「ホテルローヤル」のオーナーになるミ...