褒めてる映画

荒野にて

2020.09.25

か行, , 褒めてる映画

居場所を求めて2000km、少年と馬の放浪の旅劇場公開時に見ようかどうしようかと迷った映画です。宣伝チラシの印象から少年と馬の交流を描いたほのぼの系のヒューマンドラマだと思い込んでしまったことと前作の「さざなみ(2015)」が映画としてさほどよく思えなかったことからです。ところがDVDで見てみましたら、ほのぼの感は一切なく少年チャーリーの激烈な人生そのものでし...

LETO レト

2020.07.29

英数字, 英字, 褒めてる映画

80年代ソ連の切ない青春物語と皮肉を込めた反権力半月ほど前に見た「WAVES ウェイブス」に対しては「初めから終わりまでべったりくっついた音楽がうるさいですし、画のつくりがあざとすぎる」とやや(かなり?)批判的に書きましたが、この映画も同じようにほぼ全編音楽がついており、画の点でも下の画像のように基本はモノクロで時々カラーになったりアニメーションが入ったりとか...

その手に触れるまで

2020.06.14

さ行, , 褒めてる映画

ラストはどちらに取るにしても衝撃的。怖さだけが残らなければいいが…ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督、ほぼ3年に1本というペースが守られています。映画制作のプロセスが3年で出来上がっているんでしょうか、今回も2016年の「午後8時の訪問者」に続いての「その手に触れるまで Le jeune Ahmed(Young Ahmed)」です。この兄弟監督、初期...

黒四角

2020.04.21

か行, , 褒めてる映画

(DVD)俳優の間合いと表情で物語を語るいい映画じゃないですか!DVDのレンタル開始が2019年12月となっていましたので、最近の映画なのに記憶にないなあと思いながら借りましたら、2012年製作で日本での公開は2014年の映画でした。ひとことで言ってしまえば、時間と空間を超えたラブストーリーということなんですが、その物語そのものよりも、俳優たちの間合いと表情で...

レ・ミゼラブル

2020.02.29

ら行, , 褒めてる映画

見なくてはわからないリアリティとダイナミズム革命のダイナミズムとはこういうものかも知れない。というのが、この映画を見てまず最初に思ったことです。戦争は突発的にでも起きますし、ある一人の意志で起こすこともできますが、革命はそういうわけにはいきません。ある集団、階層、階級に共通した「怒り」がベースになければ革命は起きません。最初から最後まで「怒り」が渦巻いた映画...

風の電話

2020.01.26

か行, , 褒めてる映画

この映画には俳優モトーラ世理奈ではなくハルがいる10年という時の流れを経てもなお癒やされない悲しみを俳優の演技だけで表現することはかなり難しいことだと思います。それをやってのけたのがモトーラ世理奈さんであり、監督の諏訪敦彦さんです。東日本大震災のことです。ラスト、亡くなった家族へ「風の電話」をするハル=モトーラ世理奈、10分か、15分か、カメラはそのハルをアッ...

パリの恋人たち

2019.12.31

は行, , 褒めてる映画

ルイ・ガレル、映画で戯れるルイ・ガレルさん、無茶苦茶楽しんで映画つくってます。公式サイトにある「フランス映画界きってのサラブレッド」という枕詞(的な)がフランスでも言われていることかどうかはわかりませんが、こういう(映画の)センスには二世、三世という環境が大きく影響しているように思います。パリの恋人たち / 監督:ルイ・ガレルどの国にも様々な価値観...

マリッジ・ストーリー

2019.12.04

ま行, , 褒めてる映画

結婚、そして離婚、でも生きている Being AliveNetflix 製作、配信は12月6日からですが、11月29日から先行劇場公開されています。「イカとクジラ」「フランシス・ハ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督、主演は下の画像のようにスカーレット・ヨハンソンさんとアダム・ドライバーさんです。タイトルは「結婚物語」となっていますが、...

わたしは光をにぎっている

2019.11.15

わん他, , 褒めてる映画

翔ばなくてもいい時代の青春ファンタジー中川龍太郎監督、かなり注目している監督です。一年ほど前に見た「四月の永い夢」がとてもいい映画であり、その名前になんとなく記憶がありましたので過去記事を検索しましたら、その三年ほど前に「愛の小さな歴史」を見ていたという、そんな始まりです。わたしは光をにぎっている / 監督:中川龍太郎映画としてすごく洗練されてきて...

永遠の門 ゴッホの見た未来

2019.11.11

あ行, , 褒めてる映画

シュナーベル監督の目を通しウィレム・デフォーの姿で見るゴッホフィンセント・ファン・ゴッホ37年の生涯のうち、亡くなるまでの2年あまりが描かれています。監督は「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督、あらためてこの監督の過去の作品をみてみますと伝記的な映画が多い監督です。(的)としたのは、伝記という言葉からイメージされる人物紹介のような映画ではないと...

第三夫人と髪飾り

2019.10.27

た行, , 褒めてる映画

静謐なつくりに漂う悲哀、滲み出る情始まってしばらくは、トラン・アン・ユン監督? と思うくらい雰囲気が似ていました。ひとことで言えば静謐ということですが、ゆったりと流れる時間、少ない台詞、感情的なシーンを排しているにもかかわらずにじみ出る「情」、そういう映画です。第三夫人と髪飾り / 監督:アッシュ・メイフェアアッシュ・メイフェア監...

ブラインドスポッティング

2019.09.19

は行, , 褒めてる映画

人種差別の複雑な内面化を描く差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...

慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ

2019.07.19

か行, , 褒めてる映画

人の生きざまは俗なものと裏腹の無常なりこれ、面白いですね。チャン・リュル監督、知りませんでした。1962年生まれの中国籍の朝鮮族で、経歴は公式サイトの Director に詳しいです。アジアフォーカスや東京では上映されているようです。慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ / 監督:チャン・リュル一見、ホン・サンス監督を思わせるところもありますが、比べたら...

さよなら、退屈なレオニー

2019.06.23

さ行, , 褒めてる映画

実はレオは”さよなら”しておらず、退屈と失望の真っ只中「グザヴィエ・ドランにつづく新鋭×東京ジェムストーン賞受賞の未来を担う女優」の宣伝コピーにつられたとしても、裏切られることも後悔することもありません。新鋭とはセバスチャン・ピロット監督、未来を担う女優とはカレル・トレンブレイさんです。さよなら、退屈なレオニー / 監督:セバスチャン・ピロットただ...

アナと世界の終わり

2019.06.08

あ行, , 褒めてる映画

青春、ゾンビ、ミュージカル、3ジャンルの王道をゆく青春ゾンビミュージカル映画としては完璧です。ただ、そうしたジャンルがあればですが(笑)。「ショーン・オブ・ザ・デッド」と「ラ・ラ・ランド」の融合(‘Shaun Of The Dead’ Meets ‘La La Land’)とのコピーで紹介されています。どちらも見ていませんので、それが妥当かどうかわかりませんが...

小さな恋のうた

2019.05.31

た行, , 褒めてる映画

鉄板の青春音楽映画だが、山田杏奈、佐野勇斗、森永悠希の演技が魅力青春 × 音楽(バンド)映画はやっぱり最強ですね(笑)。それにこの映画、ベタなところのおさめ方が結構うまくいっており、最後まで嫌味なく見られます。こういう映画って、ある程度ベタじゃないと成立しませんし、かといって行き過ぎると引かれてしまいますし、結構バランスは難しいと思います。小さな恋のうた...

コレット

2019.05.23

か行, , 褒めてる映画

キーラ・ナイトレイの演技とやさしい演出でよき人コレットにシドニー=ガブリエル・コレットさんの半生を描いた映画です。ウィキペディアによりますと、1873年生まれ、1893年(20歳くらい)に結婚し、1906年(33歳くらい)に離婚とありますので、その間の13年間くらいが描かれていることになります。コレット / 監督:ウォッシュ・ウェストモアランド公式サイ...

たちあがる女

2019.03.24

た行, , 褒めてる映画

ベネディクト・エルリングソン監督の「地球温暖化」への強烈なメッセージ「たちあがる女」なんてもんじゃないです。「Woman at War」まさしく「たたかう女」です!ただ直球勝負ではなく硬軟織り交ぜて作られており、とてもバランスがよく、面白いですし、考えさせられますし、でもどうしたらいいんだろうと立ちすくむしかない今の私たちを的確に表現しています。立ち上が...

マイ・ブックショップ

2019.03.22

ま行, , 褒めてる映画

イギリスの田舎の風景は美しく、エミリー・モーティマーもいいひとりの女性がイギリスの田舎町に本屋をひらく、ただそれだけ話なんですがかなりよかったです。ゆったりしたリズムと間合い、そしてなんといっても、その女性フローレンスをやっているエミリー・モーティマーさんがいいです。マイ・ブックショップ / 監督:イザベル・コイシュ久しぶりのイザベル・コイシェ監督、...

愛と銃弾

2019.02.18

あ行, , 褒めてる映画

イタリアン・ハードボイルド・フィルム・ノワール・ミュージカル映画これは、配給の宣伝担当を褒めたいですね(笑)。「愛と銃弾」なんてタイトル、むちゃくちゃそそります。まあ、原題も近い意味なんでしょうが、下に引用した画像といい、「死んでも、愛して。」とか、このなんともいえないクサさの同居した切ないかっこよさ、どう考えてもフィルム・ノワール系のクライムものを思わせます。...