ヒーリング映画、サウンドスケープ、再び会うことのない出会い… 「ゴースト・トロピック」と同時公開されているバス・ドゥヴォス監督の2023年の「here」です。昨年のベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門で最優秀作品賞と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞しています。エンカウンター部門というのは2020年から始まった部門で、ウィキペディアには「イ...
こういう映画を撮る監督や俳優を大切にしましょう… 前作の長編デビュー作「ケンとカズ」が評価が高かったようですが、この「辰巳」は自主制作のようです。なにか訳でもあるんでしょうか、映画会社はこういう監督を大切に育てないとダメですよね。辰巳 / 監督:小路紘史ああ、もったいない…バイオレンスシーンの撮り方がうまいです。そ...
ダルデンヌ兄弟の国のもうひとつの移民の顔… ベルギーのバス・ドゥヴォス監督の2019年の映画です。もう一作、2023年の「Here」と同時公開されています。2014年の長編デビュー作「Violet」以来、長編4作がいずれもがベルリンやカンヌの映画祭で上映されるという注目の監督です。ゴースト・トロピック / 監督:バス・ドゥヴォス...
美しき自然の中の美しき女性たちの佇まい… 映画.comのレビューの点数がかなり低いことで目につき、ひとつふたつレビューを読んで逆に興味がわいた映画です。それに、監督の伊藤ちひろさんの名前になんとなく記憶があり、このブログ内を検索してみましたら、「窮鼠はチーズの夢を見る」のシナリオがいいと褒める際に、何の根拠があったのかは忘れましたが、その映画の脚本の堀泉杏...
連れ去りはともかく、0歳からのユダヤ教も6歳からのキリスト教もどちらも強制的… マルコ・ベロッキオ監督、現在84歳です。60年のキャリアがある監督ですが、日本でよく知られるようになったのは2000年以降じゃないでしょうか。私が見ているのも2003年の「夜よ、こんにちは」や2009年の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」からです。...
ハリーはアダム… 前々作の「さざなみ」がもうひとつでしたので、次の「荒野にて」をスルーしたところ、後に DVD で見てみましたらとてもよかったというアンドリュー・ヘイ監督です。この「異人たち」は山田太一さんの長編小説「異人たちとの夏」が原作です。異人たち / 監督:アンドリュー・ヘイ映画という表現形態が生きる題材…...
カルロス・ベルムト監督の恐ろしい才能と、そして恐ろしい結末と… 前々作「マジカル・ガール」のレビューの冒頭に「これだけ作り手の才能が感じられる映画はめずらしい」と書いたカルロス・ベルムト監督です。んー、なんと言っていいか、かなり難しい映画です。でも、やはり才能は間違いないです。マンティコア 怪物 / 監督:カルロス・ベルム...
ディストピアではなく、起きてはいけないがこれが現実か ミシェル・フランコ監督、「父の秘密」「或る終焉」「母という名の女」と見てきており、その名前をみれば必ず見ようと思う監督のひとりです。現在42歳、メキシコ出身の監督です。その三作ともカンヌで何らかの賞をとっていますし、この新作「ニューオーダー」も2020年のヴェネツィア映画祭で審査員グランプリの銀...
謎解きでもなく、ドキドキ感を煽ることもなく、なのに面白い… 前作「悪なき殺人」では、2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞していたドミニク・モル監督です。この「12日の殺人」では、昨年2023年のセザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞を受賞しています。期待できそうです。12日の殺人 ...
リュック・ベッソン監督が帰ってきた! リュック・ベッソン監督、なに以来か思い出せないくらい久しぶりです。サイト内を検索しましたら「マラヴィータ」「ルーシー」以来です。10年ぶりのこの「DOGMAN」、すでに自分の撮りたいと思うものがなくなっているんじゃないかと思われるリュック・ベッソン監督ですのでどうなんでしょう。DOGMAN ド...
絶滅収容所を生き延びた実在のポーランド人ボクサーの3年間 アウシュヴィッツへ最初に大量輸送された囚人のひとりでありながら戦後まで生き延びたポーランド人ボクサー、タデウシュ・ピエトシコフスキさんの物語です。1991年に74歳で亡くなっています。アウシュヴィッツのチャンピオン / 監督:マチェイ・バルチェフスキタデウシュ・“テ...
男の意地の後始末をするのは、あるいは、させられるのは女の意地… スペインのロドリゴ・ソロゴイェン監督です。前作の「おもかげ」を見たとばかり思っていましたので目についた映画ですが、見ていませんでした。きっとチラシの画像が印象に残っていたんでしょう。ですので、ロドリゴ・ソロゴイェン監督、初めてです。理想郷 / 監督:ロドリゴ・ソロゴイ...
おんなたちは、男、宗教、抑圧から逃走する… 初めて見る監督の映画の場合は、ざっと映画.com を読んで見る見ないを判断しています。で、この「緑の夜」を見ることになったのは、なんだかよくわかんない映画だなあとの印象とファン・ビンビンさんです。で、結果、本当によくわからない映画でした(笑)。緑の夜 / 監督:ハン・シュアイ...
ヘレン・シャルフベックを演じるラウラ・ビルンの魂のまなざし フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの50歳代の8年間ほどが描かれた映画です。「魂のまなざし」とはまた奇妙なタイトルをつけたものだと思いましたら、2015年に「ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし」として全国4箇所で展覧会が開かれていました。映画としてはそのタイトルは決して間違...
ラストシーン、コットがダディ、ダディと二度つぶやく父娘の物語… 一昨年2022年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門(Kplus)でグランプリを受賞したアイルランド映画です。Kplus は主人公が 4歳以上の映画が対象で、11人の子どもたちが審査するという部門です。主人公が14歳以上になりますと 14plus という部門になり、同じ年に川和田恵真監督の...
センスと技術力は感じるが、またも物語は語れても物語を生み出せない日本映画の現状の一作か… 劇場公開時、見逃していますのでDVDです。監督、脚本は土井笑生さん、商業デビュー作とのことです。出演は倉悠貴さんと見上愛さん、どちらも初めて見ます。衝動 / 監督:土井笑生2020年の青春残酷物語2020年東京渋谷、名前を失っ...
ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司さんでなければ撮れなかったでしょう… 劇場公開日の12月22日の朝刊に見開きで広告が出ていてびっくりしました。PERFECT DAYS / 監督:ヴィム・ヴェンダースマーケティング戦略…新聞の広告はこれです。すごいなあ。配給会社も命運をかけてますね、なんて思っていま...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 娘が誘拐された母親を追ったメキシコの映画ですが、監督はルーマニア系ベルギー人(だと思う…)のテオドラ・アナ・ミハイさん、この映画の制作時は40歳くらいの方だと思います。IMDbによりますと、過去にドキュメンタリーの長編1本短編4本を撮っており、ドラマとしてはこの映画がデビュー作になります。なのにプロデューサー陣がすご...
ギャスパー・ノエ監督の映画への真面目さを強く感じる感傷なき死の描写… ギャスパー・ノエ監督は、「アレックス」「CLIMAX クライマックス」「ルクス・エテルナ 永遠の光」と見てきた私の中では真面目な監督という位置づけになっています。この映画もこれ以上ない真面目さで人の「死」、最期というものを描いています。おすすめ映画に入れていますが、決して楽しい映...
神は存在する 彼女の名はペトルーニャ、というマケドニア映画 邦題は「ペトルーニャに祝福を」という優しいタイトルになっていますが、英題は「GOD EXISTS, HER NAME IS PETRUNYA」です。マケドニア語の原題も同じ意味らしく、そのまま日本語にすれば「神は存在する 彼女の名はペトルーニャ」です。ギリシャ正教とか東方教会と呼ばれるキリスト教の世界の話...