ブラッドリー・クーパーひとり舞台のやや残念な豪華キャスト 見ているようであまり見ていないギレルモ・デル・トロ監督、直近では「シェイプ・オブ・ウォーター」、さらに遡りますと「パンズ・ラビリンス」くらいです。この映画は、「アリー スター誕生」がとてもよかったブラッドリー・クーパーさん、「キャロル」以降名前をみれば見たくなるルーニー・マーラさんという名前...
原作とは違い、男たちの青春ものになってしまった(涙) 柴崎友香さんの『きょうのできごと、十年後』を読み、おもしろかったので、それがデビュー作の続編であることも知らなかったそのデビュー作『きょうのできごと』を読み、そのデビュー作が行定勲監督によって映画化されていることを知り、DVDで見てみました。きょうのできごと a day on ...
ケネス・ブラナー、郷愁のファミリーストーリー ケネス・ブラナー監督の自伝的な映画と言われています。同じ意味合いの映画ではアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」が思い出されますが、どちらもモノクロ映像です。やはりノスタルジーという感覚から考えれば当然の選択ということでしょうか。その「ROMA/ローマ」はかなり感傷的な映画でしたが、この「ベ...
超スローモーションのアクションシーンが唯一の見せ場 映画を見る際の選択肢のひとつにいろんな国の映画を見たいということがあります。残念がら最近はその希望もなかなか叶わなくなってきており、そろそろ配信ということも考えなくてはいけないかと思い始めているところなんですが、この「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、ナボット・パプシャド監督がイスラエルの方であり、前作の...
ジャネットのようにミュージカルにすべきだった? ブリュノ・デュモン監督がジャンヌ・ダルクの少女時代(12歳くらいから数年)を描いた「ジャネット」の続編です。その「ジャネット」はミュージカル仕様でしたが、こちらはうってかわって台詞劇です。ジャンヌ、ここは歌えよと思うところでも歌ってくれません(笑)。ジャンヌ / 監督:ブリュノ・デュ...
不完全なる映画から立ち昇るリアルなジャンヌ・ダルク なんとも奇妙な映画ですね。やっていることはわかるのですが、やろうとしていることがわからないという、つくり手の考えていることが不可解な映画です。ただ、この映画には「ジャンヌ」という続編があり、まだ見ていませんのでそれを見れば、その不可解さもちょっとは解けるかもしれません。ジ...
シュールな近未来か?アンチテクノロジーか? 予告編からはもっとシュールな映画を想像していたのですが、思いのほか感傷的で叙情的な映画でした。2020年のヴェネツィア映画祭のオリゾンティ部門で上映され、コンペティション部門の審査委員長のケイト・ブランシェットさんが評判を聞きつけて鑑賞し、エグゼクティブ・プロデューサーへの就任を買って出たという映画です。...
三つの時空の融合が中途半端で惜しい 率直なところ、始まって1/3あたりまではあまりの素人臭さに(感じたということでペコリ)なぜこれが劇場公開?とため息をこらえて見ていたのですが、後半の現代の写真館あたりからは、ん? そうでもないかと気を入れ直して見た映画です。いきなりこんな書き方でゴメン、問題は多いと思いますが悪くはないです。...
ジェシカも話も現実的なのに物語は不可解な映画 「ブンミおじさんの森」以来のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督です。相変わらずの誘眠(催眠)映画でした。MEMORIA メモリア / 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン予想に反してかなりリアルな世界「ブンミおじさんの森」しか見ていない上に細かいところはほとんど記憶...
ゴゴベリゼ監督自身が過去の思いと折り合いをつける映画か… ジョージアのラナ・ゴゴベリゼ監督の2019年の映画です。現在93歳とのことです。公式サイトにはジョージアを代表する映画監督とありますが、この「金の糸」の前は1992年の「ペチョラのワルツ(Valsi Pechoraze)」という映画が最後であり、ちょうどジョージアが1991年のソ連邦解体後に独立して...
深層なき愛憎うずまく青春音楽物語かな 塩田明彦監督の映画を初めて見ました。すごいですね。先が読めないですし、その先はと言えばとんでもないことのほうが多いのですが、ああ、こういうこともあるかもしれないなあと妙に納得がいきます。青春音楽映画のようにもみえますが、「青春」にも「音楽」にも甘えていないところがいいです。麻希のいる世界 / ...
レオは認知症の後期、ひとりで置いておける状態ではないと思うが… サリー・ポッター監督が、若年性認知症を患った弟さんを介護した(公式サイト)ことから着想したという映画です。認知症の父親レオを演じているのはハビエル・バルデムさん、そしてその娘モリーをエル・ファニングさんが演じています。選ばなかったみち / 監督:サリー・ポッター...
建物にしみ込んだ記憶への詩的な鎮魂ファンタジー ユーリイ・ガガーリン人類で初めて宇宙へ行ったソ連の宇宙飛行士であり軍人です。1961年のことです。この映画はその伝記ものでも何でもありません。パリ南東に隣接するイヴリー=シュル=セーヌというコミューン(地方自治体のこと)にある(あった)「ガガーリン団地(CitéGagarine)」と名付けられた共同住...
ナチを欺いた嘘のような本当の話、なのだが… 第二次世界大戦中、イギリス諜報部がイタリア侵攻作戦を撹乱するために死体に偽の機密文書を持たせて地中海に流し、それをナチスドイツに回収させ信じさせようとしたという、嘘とも本当ともつかないような本当にあった話の映画です。オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体- / 監督:ジョン・マ...
翻訳家の男の存在感が足りません。ミスキャストでしょう。 もう2年前になりますが、この映画の監督の前作「黒四角」をDVDで見て、こういう映画をきっちり撮れる監督が日本にもいるんだ(劇場公開される映画でという意味)と興味を持ち、さらにさかのぼって宮﨑あおいさんとARATA(当時)さんの「青い車」まで見てしまったという奥原浩志監督の最新作です。2年前とい...
社会システムの欠陥を個人の問題にすり替えてはいけない すごい映画ですね。憎悪や悪意など何もないのに次から次へと人が傷ついていき、挙げ句の果てに…という、救いなし、癒やしなし、不条理の極みの映画です。と思ったのですが、よくよく考えれば…と思いなおした映画です。イラン映画です。監督は、主演でもあるマリヤム・モガッダムさんとプライベートでもパート...
正統派伝記映画にすべきだった 映画の邦題というのはどんなタイトルをつけてもあれこれ言われるものだとは思いますが、それにしても、この「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」はもう少し考えないと長すぎて肝心の「ビリー・ホリデイ」が三点リーダーに省略されてしまいます。「奇妙な果実」とかにすればよかったんじゃないでしょうか。ビリー・ホリデイの代...
男はケーキにまみれて自らの過去に拘泥し、女は朝日にまみれて未来を思う 日本映画は大丈夫か? と思います。松居大悟監督までもが…とかなり心配になります。この手の恋愛映画、それぞれ若干趣きは違うにしても過ぎ去りし過去を引きずった感傷的恋愛映画が立て続けに送り出されています。「ボクたちはみんな大人になれなかった」「明け方の若者たち」たまたま私が見...
ゴッドファーザーに囚われ続けるマフィアもの いわゆるマフィアものの映画でかなり渋くつくられていますので、そこそこ見ごたえはあります。ただ、人生の終わりを感じ始めた(のだと思う)大物マフィアが自分自身の生涯を語る現在とそのマフィアの過去が交錯して描かれますので、わかりにくい部分も多いですし集中しづらいところがある映画です。それにしても邦題を「ギャング...
面白い!沖縄コザ舞台のタイムスリップ&入れ替わり映画 これ、むちゃくちゃ面白いですし、泣けますし、感じますし、つくりもうまいです(多分、結果として)。脚本、監督の平一紘さんって誰?ミラクルシティコザ / 監督:平一紘沖縄の沖縄による、日本全国のための映画この映画は、第3回未完成映画予告編大賞でグランプリを受賞した作...