世の不条理を描くことは映画の常道ではあるけれど、それと戦う意思なくして物語となり得るのか? 映画を撮ることがとても苦しそうですね。厳しい言葉になりますが、撮りたいものがあるのではなく、撮るために無理やり何かを引きずり出そうとしているような感じがします。橋口亮輔監督、名前は見聞きしていますが、多分何も見ていないと思います。その上での言葉ですので、この映画を見て直感...
DVD視聴ですので今更ですが普通に面白かったです。この監督はオーソドックスな手法があっています。 英国王のスピーチ (字幕版)メディア: Prime Video 2010年の作品ですので、いまさら何かを書く映画ではありませんが、見たことを忘れないようにとのメモ程度です。DVD になったらすぐに見ようと思っていたはずですが、なんと5年後になって...
映画が映像的にも内容的にも、そしてもし反戦の意識があるとするならその点においても平面的です。 小栗康平監督というのはこういう映画を撮る方なんですね。「泥の河」も「死の棘」も「眠る男」を見ておらず、はじめてです。それにしても「藤田嗣治」人気なんでしょうか、月曜日の昼間なのによく入っていました。1920年代、フランス・パリ。「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・...
ジャック・オコンネルのエリック、触るとやけどしそうなくらいのひりひり感がとてもいい! 刑務所を舞台にした映画にハズレはない(かも?)ですね。記憶に新しいところでは「預言者」「タンゴ・リブレ 君を想う」、刑務所の中だけの話ではありませんが、「愛について、ある土曜日の面会室」、最近見た映画で何かもうひとつあったような気がしますが思い出せません。暴力や犯罪ものはドラ...
キログラム原器にかけてきた父の人生は21グラムの魂が抜けても1グラム意味があったとか? 映画だけでなく何であっても「北欧」でくくって語るというのは、日本や韓国を東アジアでくくるみたいなもので、それってどうなんだろうとは思いますが、それでもこの映画なんかは、カウリスマキ監督の人間の捉え方とかちょっと覚めた距離感とかどことなく似ています。逆かな? 我々がそうした映画を...
邦題にかなり違和感、ヨーロッパの「老い」の感覚が感じられる映画というところかな 見始めてしばらくは、あれ?借りる映画を間違えたのかと思いました。記憶している予告編の印象やタイトルから、裕福だけれども偏屈がゆえに孤独な老婦人が、貧しいけれども心豊かな家政婦さんの優しさに触れて心をひらいていくお話かと思っていました。その思い込みから、まあ DVD でいいかと思っ...
川べりの廃船、そこへ素潜りで行き来し魚や貝で生活の糧を得る少年、設定は大いに期待をもたせるのだが… イラン映画を見始めたのは、ご多分にもれずアッバス・キアロスタミ監督の「友だちのうちはどこ?」からですが、振り返ってみますと、そのままイラン国内の映画事情を反映しているのかどうかは分かりませんが、イラン映画というのは作家性の強い作品が多いですね。そうしたところが日本や...
見終わって何も残らない爽快さはリュック・ベッソン・アクションでしか味わえない! 「トランスポーター」のフランク・マーティンが、ジェイソン・ステイサムからエド・スクレインという人に変わってしまいました。監督も「96時間」などの編集をやっていたというカミーユ・ドゥラマーレ監督という方に変わりました。アクションものはほとんど見ないのですが、リュック・ベッソンだけは別で...
ジュリエット・ビノシュは当然としても、クリステン・スチュワートの個人秘書役が素晴らしい! 「アクトレス」はともかく「女たちの舞台」なんていう二時間ドラマを思わせるタイトルで、映画はどうかな?と思いましたが、とんでもなくいい映画でした。それもそのはずで、原題は邦題とはかけ離れた「Clouds of Sils Maria」であり、スイスのシルス地方のマリア地区で見られ...
事前情報を入れてから見たほうがいいかも。それではいい映画とは言えないと言わないで。モニカ・ベルッチさん出てました。 昨年のカンヌグランプリ受賞作です。予告編を見た時にも不思議な印象を受けたのですが、本編を見てもとても不思議な映画でした。まあカンヌらしいと言えばその通りなんですが、良いかどうかはっきりしないけれども、どこか捨てきれないという感じですね。光と緑...
深津絵里さんの良さで持っているような映画ですね。やたら大層な音楽が良いのやら悪いのやら… 黒沢清監督の作品を見るのは「トウキョウソナタ」以来でしょうか。この映画、カンヌの「ある視点」部門で監督賞を受賞していますが、見ての印象は、むしろ深津絵里さんに女優賞をあげたほうがいいような映画ですね。3年間、失踪していた夫が突然帰ってきた。だが、夫は「俺、死んだよ」と妻...
フランスを目指した(かどうかは本当のところ分かりませんが…)はずが日本に舞い戻ってしまったのでしょうか? 2012年「くじらのまち」でPFFグランプリを獲得し、出品したベルリン映画祭で「フランス映画のようだ」と評された鶴岡慧子監督が、PFFスカラシップで撮った初の劇場公開作です。確かに「くじらのまち」は、無駄なところのない、よく練って作られた映画でした。三人の高校...
台詞の有り無しが特徴と言われないために、あるいは映像が美しい映画と言われないために 「草原の実験」って何? と不思議なタイトルですが、最後に「ああ、そういうことね」と分かります。原題が「Ispytanie」とローマ字表記になっているのは、ロシア語(キリル文字)は2バイト文字なのでラテン文字表記法という1バイト文字変換というものがあるようです。意味は TEST という...
映画の評価より「フランクフルト・アウシュビッツ裁判」について語るしかない 誤解を受ける言い回しかもしれませんが、我々日本人ってヒトラーやアウシュビッツを扱った映画って好きですよね。配給もそれを分かって邦題をつけているのでしょうが、かく言う私もつい見なくてはいけない(強迫)観念にとらわれて見に行きました。連休明けの朝イチですので空いているかと思いきや、その時間帯にし...
消えてはいないが、結局天使はカーラ・デルヴィーニュだった。 「ペルージャ英国人留学生殺害事件(アマンダ・ノックス事件)」を題材にした映画なんですが、如何せんその事件を全く知りません。更にそうした類の事件に全く興味がありません(笑)。なら、なぜ見にいった? って、マイケル・ウィンターボトム監督の映画を見てみたかったことと、宣伝文句に「観る者の心を揺さぶる重層的なドラ...
監督自身の網膜に焼き付けられてきた残像や鼓膜に記憶されてきた残響を一本にまとめ上げたような映画 随分前に予告編を見て、これは絶対見なくっちゃと待ちに待った映画です! と言いながらも公開から一週間経っていますので、大きなことは言えません。あらら、1日1回の上映ですね。さほど入らないとふまれたのでしょうか、良い映画なだけに残念です。邦題を、原題の「A Girl Wa...
スタイリッシュなグルーヴ感なのに以外に身近な青春もの、見ていれば自然と体が動き出します 仕事上選曲をしたりしますので、この曲なんだっけ?といった音楽がいっぱい流れていました。ただ、クラブ系の音楽はなかなか曲名に結びつかいないですね。音楽的には、ハウス系の音楽ですともう少しディープで体が沈み込むようなものが好みですので、ちょっとばかり軽すぎる印象ですが、それでも映画...
これ、エンディングも「希望に満ち(公式サイト)」てはいないよね…。 冒頭、大きなベッドにふたりの幼い子どもが気持ちよさそうに眠っています。カメラはその姿をじっと捉えています。至福の時はゆったり流れる、と思いきや、突然映像は切り替わり、部屋の中を慌ただしく動きまわる子供を追いかけるように、カメラもまた手持ちのまま激しく動きまわります。おお、いけるじゃない、この...
鬼の目にも涙では甘いのだ!スパルタ教育こそが天才を生むのだ! 見逃していた映画が、運良く二番館で上映されていました。音楽ものですし、「圧倒的」とか「ラスト何分の何とか」とかの言葉が踊っていますので期待は高まります。名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるとい...
三人の人物描写が浅いけれど、メロドラマとしてはほど良いところかも。?な邦題もぴったりか? 「東ベルリンから来た女/クリスティアン・ペッツォルト(クリスティアン・ペツォールト)監督」の最新作ですね。1945年6月ベルリン。元歌手のネリーは顔に大怪我を負いながらも強制収容所から奇跡的に生還し、顔の再建手術を受ける。彼女の願いはピアニストだった夫ジョニーを見つけ出...