ABYSSとは海への一泊旅行のことかと思ってしまうのだが… 「逆光」ではかなりいい印象を持った須藤蓮監督と脚本渡辺あやさんによる二作目です。ABYSSとは「深いふち,底の知れない深い穴,混沌(Weblio)」という意味とのこと、果たしてその深さは描かれているのでしょうか。ABYSS アビス / 監督:須藤蓮ABYSSとは、...
熊はまぼろし、恐れることはない… ジャファル・パナヒ監督、2018年の「ある女優の不在(3 Faces)」以来です。2010年頃からイラン政府によって拘束されたり、逮捕されて有罪判決が下されて収監されたりが続いているのですが、現在はどうなっているんでしょう。熊は、いない/ノー・ベアーズ / 監督:ジャファル・パナヒ撮り終え...
バラエティ映画… 今週公開の映画をなにか見ようと消去法で「まなみ100%」を選んでしまった際に消去されたのがこの映画です。でも、結局見ることにしました。BAD LANDS バッド・ランズ / 監督:原田眞人バラエティ映画…主演が安藤サクラさんということで捨てきれなかったということなんですが、その安藤サクラさんはとも...
見知らぬ男はサラのリビドーとタナトスの発現か… なかなかお勧めできる映画がない今日この頃ですが、この「PIGGY ピギー」はスペイン映画ですし、ちょっと変わった感じがしておもしろそうです。日本の公式サイトを見ますとあまり売る気がなさそうですので逆に興味がわきます(笑)。PIGGY ピギー / 監督:カルロタ・ペレダ青春屠殺...
小気味よい見事な展開と特徴的なカメラワーク メーサーロシュ・マールタ監督というハンガリーの監督の特集上映の1本、1975年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「アダプション/ある母と娘の記録」を見てきました。アダプション/ある母と娘の記録 / 監督:メーサーロシュ・マールタ特徴的なカメラワーク有無を言わせぬ見事な...
親子愛をもってしても越えられないホモフォビア… アメリカの海兵隊新兵訓練所での過酷な訓練シーンが多くを占めますが、映画の主題はゲイの男性の母子関係とホモフォビアです。監督であるエレガンス・ブラットンさんの実体験に基づいているそうです。インスペクション ここで生きる / 監督:エレガンス・ブラットンホモフォビア、同性愛嫌悪...
菊地凛子さんの苦労の跡が見える…(涙) 菊池凛子さん主演の映画を初めて見ます(多分…)。過去の出演作を見てみますと何作かは見ていますが、ほとんど記憶がありません。話題になったということもあり、どうしても記憶は「バベル」までさかのぼってしまいます。監督は熊切和嘉さん、こちらもしばらく見ていないようで「武曲 MUKOKU」以来です。...
アンドレア・ライズボローの演技は評価されるべきもののスウィーニーのいい人ぶりと地域コミュニティの暴力性が気になる… アルコール依存症の女性が心やさしき男性の助けで再起するという話です。現実感はありませんが過剰さがなく見やすい映画です。主演のアンドレア・ライズボローさんが今年2023年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。受賞したのは「エブリシン...
新人俳優ジュリー・ルドリューがノンバイナリー的存在感を放つニューシネマ クロスビトゥームという、バイクの前輪を上げて走るなどアクロバティックな乗り方で公道を疾走するバイカーたちの話です。ただし、それはあくまでも背景であって、映画のポイントはその集団の中に自らの居場所を見つけようとするひとりの女性(あえてこう書くが、実は違う…)の物語です。...
あなたは男社会を赦す?戦う?逃げる?と映画が問うてくる 「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー監督、あれは2007年の映画でしたので16年ぶりということになります。監督自身はその間にも2、3本の映画やテレビドラマを撮っています。この「ウーマン・トーキング 私たちの選択」の主演はルーニー・マーラさん、私には「キャロル」を見た以降、評価の...
イエジー・スコリモフスキ監督いきあたりばったり イエジー・スコリモフスキ監督、現在84歳です。前作の「イレブン・ミニッツ」が2015年ですので、7年ぶりです。昨年2022年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され審査員賞と作曲賞を受賞しています。EO イーオー / 監督:イエジー・スコリモフスキEO どこへ行くイ...
親子共依存にさせない社会環境が求められるのだが… 子どもに対する虐待やネグレクトを題材にした映画は結構見ていますが、その実相を知っているかと言われますと、実際そうした場面に出会ったこともありませんし、映画でもドラマ以外には見たことはありません。当然ながらその現場の映像が世に出てくることは考えづらく、しかしながらその体験者が自らの体験を語ることでその...
異形のサーカス団対ナチスのバトルを描く空想冒険活劇 前作が日本のアニメ「鋼鉄ジーク」(原作:永井豪)をモチーフにしたダークヒーローもの「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」だったガブリエーレ・マイネッティ監督、その長編二作目は異形のサーカス団員とナチスの戦いを描いた空想冒険活劇です。面白かったです(笑)。異形のサーカス団...
映画の作り方、教えます 「映画作りに情熱を燃やす若者たちを描く70年代青春グラフィティ」という映画です。このコピーと映画のメインビジュアルを見れば内容はおおよそ想像がつきます。でも驚くのは、これを撮ったのが60歳の小中和哉監督であり、にもかかわらず、と言うのもなんですが、どちらかと言いますとノスタルジーよりも青春のみずみずしさが感じられる映画です。...
オリジナルへのリスペクトと何かが抜け落ちた物足りなさ 言うまでもなく黒澤明監督の「生きる」のリメイクです。脚本はカズオ・イシグロさんです。生きる LIVING / 監督:オリヴァー・ハーマナスオリジナルに忠実なリメイク版オリジナルへのリスペクトが感じられるリメイクです。黒澤明監督の「生きる」をほぼ踏襲している印象です。...
観念的な父子関係のまま人生は続くと言われても… 2021年のアカデミー賞でアンソニー・ホプキンスさんが主演男優賞を受賞した「ファーザー」のフロリアン・ゼレール監督の最新作です。ゼレール監督自身も脚色賞を受賞しています。その前作が「The Father」で、この映画が「The Son」です。日本の公式サイトに家族三部作とありますので、次は The M...
事件そのものの問題点に迫ることなく弁護側の主張に基づく映画 Winny? と、すぐにはあのファイル共有ソフトには結びつかず、逆に何だろうと目を引き、さらに監督松本優作の名に記憶があり、サイト内を検索してみましたら「ぜんぶ、ボクのせい」の監督でした。実は、この「ぜんぶ、ボクのせい」という映画、リンク先のレビューに「日本映画界の失われた30年」とまでかなり辛辣...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」のユホ・クオスマネン監督の長編第2作です。その2016年の長編デビュー作はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で作品賞を受賞しています。そして、この「コンパートメントNo.6」は2021年に同じくカンヌのコンペティション部門でグランプリ受賞です。コンパートメン...
監督の自伝的映画?マジか?! 配信スルーかDVDスルーでよかったんじゃないの、と思います(笑)。日本の公式サイトによれば「オーガスティン・フリッゼル監督のほぼ自伝的映画」だそうです。マジか?!Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック / 監督:オーガスティン・フリッゼル内容ほど下品じゃない(笑)確か1...
男性が根源的に持つ暴力性と甘え、冗談じゃねぇと拒否される 「エクス・マキナ」を見たと思っていたけれども見ていなかったアレックス・ガーランド監督の最新作です。主演のジェシー・バックリーさんはたくさん見ています。「彼女たちの革命前夜」「ワイルド・ローズ」これはよかったです。主演ではありませんが「ジュディ 虹の彼方に」や「クーリエ:最高機密の運び屋」でも印象に残...