音楽映画だと思ったら、ギャング映画だった… ファティ・アキン監督は「クロッシング・ザ・ブリッジ 〜サウンド・オブ・イスタンブール〜」という音楽映画を撮っていますし、趣味は DJ Superdjango としてクラブに出演することという話もあり、音楽映画だろうと思って見に行きましたら…RHEINGOLD ラインゴールド / ファティ...
謎解きでもなく、ドキドキ感を煽ることもなく、なのに面白い… 前作「悪なき殺人」では、2019年の東京国際映画祭で最優秀女優賞と観客賞を受賞していたドミニク・モル監督です。この「12日の殺人」では、昨年2023年のセザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞を受賞しています。期待できそうです。12日の殺人 ...
リュック・ベッソン監督が帰ってきた! リュック・ベッソン監督、なに以来か思い出せないくらい久しぶりです。サイト内を検索しましたら「マラヴィータ」「ルーシー」以来です。10年ぶりのこの「DOGMAN」、すでに自分の撮りたいと思うものがなくなっているんじゃないかと思われるリュック・ベッソン監督ですのでどうなんでしょう。DOGMAN ド...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく… 原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
ヴィム・ヴェンダース監督と役所広司さんでなければ撮れなかったでしょう… 劇場公開日の12月22日の朝刊に見開きで広告が出ていてびっくりしました。PERFECT DAYS / 監督:ヴィム・ヴェンダースマーケティング戦略…新聞の広告はこれです。すごいなあ。配給会社も命運をかけてますね、なんて思っていま...
映画は一見凡庸に見えるが、アンチへの配慮や不確かなものを避けたい思いかも… メイミー・ティルという実在の人物を描いた映画です。1955年に14歳の息子エメットが白人男性に暴行(リンチ…)され殺害されたことを契機に公民権運動の活動家となり、また教育者としても様々な活動をされたようです。2003年に81歳で亡くなられています。ティル ...
中川龍太郎監督、EXILE HIRO企画をウォン・カーウァイ風映像で遊ぶ… 劇場公開日の数日前に中川龍太郎監督の映画ということだけでポチッとしておいたこの映画、見る少し前にどんな映画だろうと公式サイト見てびっくり! 企画プロデュースに EXILE HIRO氏の名前が出ていました。中川龍太郎監督の映画を何本か見てきた者としては、え? どういうこと? ...
不死身ではなく、死ぬことを拒否した…に大ウケ フィンランドのアクション映画です。普段アクションものに興味を持つことは少ないのですが、フィンランド映画であることと、そしてもうひとつ、予告編のある台詞がツボにはまってしまったからです(笑)。SISU/シス 不死身の男 / 監督:ヤルマリ・ヘランダー死ぬことを拒否する…そ...
ABYSSとは海への一泊旅行のことかと思ってしまうのだが… 「逆光」ではかなりいい印象を持った須藤蓮監督と脚本渡辺あやさんによる二作目です。ABYSSとは「深いふち,底の知れない深い穴,混沌(Weblio)」という意味とのこと、果たしてその深さは描かれているのでしょうか。ABYSS アビス / 監督:須藤蓮ABYSSとは、...
熊はまぼろし、恐れることはない… ジャファル・パナヒ監督、2018年の「ある女優の不在(3 Faces)」以来です。2010年頃からイラン政府によって拘束されたり、逮捕されて有罪判決が下されて収監されたりが続いているのですが、現在はどうなっているんでしょう。熊は、いない/ノー・ベアーズ / 監督:ジャファル・パナヒ撮り終え...
バラエティ映画… 今週公開の映画をなにか見ようと消去法で「まなみ100%」を選んでしまった際に消去されたのがこの映画です。でも、結局見ることにしました。BAD LANDS バッド・ランズ / 監督:原田眞人バラエティ映画…主演が安藤サクラさんということで捨てきれなかったということなんですが、その安藤サクラさんはとも...
見知らぬ男はサラのリビドーとタナトスの発現か… なかなかお勧めできる映画がない今日この頃ですが、この「PIGGY ピギー」はスペイン映画ですし、ちょっと変わった感じがしておもしろそうです。日本の公式サイトを見ますとあまり売る気がなさそうですので逆に興味がわきます(笑)。PIGGY ピギー / 監督:カルロタ・ペレダ青春屠殺...
小気味よい見事な展開と特徴的なカメラワーク メーサーロシュ・マールタ監督というハンガリーの監督の特集上映の1本、1975年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「アダプション/ある母と娘の記録」を見てきました。アダプション/ある母と娘の記録 / 監督:メーサーロシュ・マールタ特徴的なカメラワーク有無を言わせぬ見事な...
親子愛をもってしても越えられないホモフォビア… アメリカの海兵隊新兵訓練所での過酷な訓練シーンが多くを占めますが、映画の主題はゲイの男性の母子関係とホモフォビアです。監督であるエレガンス・ブラットンさんの実体験に基づいているそうです。インスペクション ここで生きる / 監督:エレガンス・ブラットンホモフォビア、同性愛嫌悪...
菊地凛子さんの苦労の跡が見える…(涙) 菊池凛子さん主演の映画を初めて見ます(多分…)。過去の出演作を見てみますと何作かは見ていますが、ほとんど記憶がありません。話題になったということもあり、どうしても記憶は「バベル」までさかのぼってしまいます。監督は熊切和嘉さん、こちらもしばらく見ていないようで「武曲 MUKOKU」以来です。...
アンドレア・ライズボローの演技は評価されるべきもののスウィーニーのいい人ぶりと地域コミュニティの暴力性が気になる… アルコール依存症の女性が心やさしき男性の助けで再起するという話です。現実感はありませんが過剰さがなく見やすい映画です。主演のアンドレア・ライズボローさんが今年2023年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。受賞したのは「エブリシン...
新人俳優ジュリー・ルドリューがノンバイナリー的存在感を放つニューシネマ クロスビトゥームという、バイクの前輪を上げて走るなどアクロバティックな乗り方で公道を疾走するバイカーたちの話です。ただし、それはあくまでも背景であって、映画のポイントはその集団の中に自らの居場所を見つけようとするひとりの女性(あえてこう書くが、実は違う…)の物語です。...
あなたは男社会を赦す?戦う?逃げる?と映画が問うてくる 「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー監督、あれは2007年の映画でしたので16年ぶりということになります。監督自身はその間にも2、3本の映画やテレビドラマを撮っています。この「ウーマン・トーキング 私たちの選択」の主演はルーニー・マーラさん、私には「キャロル」を見た以降、評価の...
イエジー・スコリモフスキ監督いきあたりばったり イエジー・スコリモフスキ監督、現在84歳です。前作の「イレブン・ミニッツ」が2015年ですので、7年ぶりです。昨年2022年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され審査員賞と作曲賞を受賞しています。EO イーオー / 監督:イエジー・スコリモフスキEO どこへ行くイ...
親子共依存にさせない社会環境が求められるのだが… 子どもに対する虐待やネグレクトを題材にした映画は結構見ていますが、その実相を知っているかと言われますと、実際そうした場面に出会ったこともありませんし、映画でもドラマ以外には見たことはありません。当然ながらその現場の映像が世に出てくることは考えづらく、しかしながらその体験者が自らの体験を語ることでその...