若手中国人監督5人によるオムニバス映画。ウォン・カーウァイを思わせる映画もあり… 若手中国人監督5人によるオムニバス映画です。プラハ、上海、パリ、小樽、フィレンツェの5都市を舞台にして、それぞれ男女の様々なラブストーリー(的交流)を描いています。基本的には5つの物語に関連性はないのですが、エンドロールでそれらをうまい具合に結びつけてひとつの映画としての余韻をもた...
単なる復讐物語にしかみえない。 ファティ・アキン監督の映画は、 「愛より強く」以来、「トラブゾン狂騒曲」というドキュメンタリーをのぞいてすべて見ていますが、本人がトルコ移民二世のドイツ人ということからでしょう、トルコ系としてのアイデンティティに関わる物語がほとんどで、描かれる社会もトルコ系の俳優を使ったトルコ系コミュニティが中心でした。それが前々作の「消えた声が、...
50年の時を超えたファンタジー、NYのジオラマは必見! 「キャロル」のトッド・ヘインズ監督ですので見に行きましたが、ちょっとばかり大人には単純すぎますかね。文部科学省の推薦(?)のクレジットが入っていました。原作者のブライアン・セルズニックさんは児童文学者なんですね。見ていないのですが、「ヒューゴの不思議な発明」の原作者でもあります。この映画では脚本も書いているよ...
愛なく殺伐たる風景にみえるけれど、あるいは特異なことでもないかも… アンドレイ・ズビャギンツェフ監督、日本語的には記憶しづらい名前の監督ですが、「父、帰る」以来ずっと見ている監督です。前作「裁かれるは善人のみ」では割とごちゃごちゃいろんな事が起きていましたが、この映画はシンプルそのもの、ある夫婦の「LOVELESS」な、まったく「愛のない」物語です。ロシア語タイ...
2017年PFFアワードグランプリ受賞作、見えても見えなくても変わらない 昨年2017年のPFFアワードでグランプリを受賞した作品が劇場公開されています。詳しく調べたわけではありませんが珍しいことなんだろうと思います。それに、そもそもが東京藝術大学大学院の修了作品として制作された映画ということですので、相当注目されている若手監督ということなんでしょう。今年のベルリ...
8割方セックスシーンのコメディのような映画 マジなのか、ふざけているのか、よくわからない映画です(笑)。ほぼ全編とは言わないまでも8割方はセックスシーン、それも内容はほぼ AVネタですし、映像的にも、XXXXやXXXなんて AVでしかやっちゃいけないことでしょう(笑)。ただ、笑えるんですよ。多分、皆、この馬鹿げた映画をマジで作っているからだと思います。(注)...
We shall never surrender. 我々は決して降伏しない Never! Never! チャーチルと聞きますと、私は、チャーチル、ルーズベルト、スターリンの3人が座って居並ぶ「ヤルタ会談」の写真がすぐに浮かびます。あれは第二次大戦も末期、1945年の2月、いわゆる戦勝国が戦後処理を話し合った会談ですが、この映画は、イギリスにとってそんな希望的未来な...
ドキュメンタリー「健さん」の日比遊一監督が撮った初の劇映画 日比遊一監督という方を知らなかったのですが、名古屋出身でニューヨーク在住なんでしょうか、ウィキペディアには「健さん」という高倉健さんのドキュメンタリーを2016年に撮っており、一昨年のモントリオール映画祭で最優秀作品賞を受賞したとあります。劇映画としては、この映画が第一作とのことです。写真家でもあるよう...
キルギス発。言葉を得て文明をもった人類の永遠の矛盾 キルギスの映画です。予告編を見た時に以前なにか見たことが…、と漠然とした記憶が蘇っていたまま調べもせず見に行ったのですが、主演のアクタン・アリム・クバトさんを見て思い出しました。「明りを灯す人」でした。同じく監督、主演の映画です。読み返してみましたら、楽しめる映画だと言いつつも内容についてはそっけないことを書...
大人向けのアイロニカルな舞台劇のような映画 「ローマに消えた男」しかみていませんが、 ロベルト・アンドー監督の映画はあまりマジで見ちゃいけないことを再確認しました(笑)。つくりは大層なんですが、どこかふざけたところがあり、真剣に見ていると陰でくすくす笑われているのじゃないかという感じがする映画ということです。だって、この映画、G8財務相会議の面々が、マジで自分た...
刹那的な人間関係を描いているのかもしれない 「BPM」Beats Per Minute. ダンスミュージックでは、この曲は BPMいくつなどと結構よく使いますが、1分間の拍数を表す言葉で、昔のディスコサウンドは 120くらい、トランス系の曲ですと140くらいはあるのではと思います。原題はそのものずばり「120 battements par minute」で、映画...
もうゲイという言葉もやめようよ、ブラジル発の爽やか青春物語 ブラジル、サンパウロからの青春映画です。ダニエル・ヒベイロ監督が2010年に撮った「I Don't Want to Go Back Alone」という短編映画を同じキャストで長編映画化した作品とのことです。監督は、1982年生まれですから35、6歳ですね。公式サイトに2014年のベルリンでFIPRES...
悲劇的ではない、ギリシャ神話を基にした家族愛憎物語 「聖なる鹿殺し」なんてタイトル、無茶苦茶そそりますね。ただ、英語タイトルは「The Killing of a Sacred Deer」ですから「聖なる鹿」を殺したことを意味していると思われ、ややニュアンスが違いますし、そもそも映画を見ても鹿など出てきません。それでも興行的にはうまいタイトル付けだと思います。で、...
ネタバレする必要もない実話を事件の当事者が演じる クリント・イーストウッド監督、 87歳ですか。すごいなあと思いますが、上には上がいるもので、よく知られているところでは、ポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督は、105歳で撮った「レステルの老人」が遺作になっていますし、日本でも新藤兼人監督が、99歳だったでしょうか、亡くなる前年の2010年に「一枚のハガキ」を...
アレクサンダー・ペイン監督、SF的寓話物語を撮ってはみたが… なんとも奇妙な映画ですね。作っているうちに、何やってんだかわかんなくなってしまったような…(笑)。 監督は、アレクサンダー・ペインさんで、「アバウト・シュミット」「サイドウェイ」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」と、自分でも意外と見ていることにびっくりです。これまでの印象としては、ベースはヒューマン...
モードとエベレット、4メートル四方の幸せ 「シェイプ・オブ・ウォーター」は作品賞や監督賞を受賞しましたが、サリー・ホーキンスさんの主演女優賞は残念でしたね。でも、レビューにも書きましたが、サリー・ホーキンスさんあっての映画ですから、当然ながら、それも含まれた評価と考えるべきでしょう。で、たまたまなんでしょうが、サリー・ホーキンスさん主演の映画がもう一本上映中でした...
85歳と13歳、救いのないふたつの「死」 ミヒャエル・ハネケ監督はどうやら「死」に取り憑かれているようです。前作「愛、アムール」に引き続き「死」について語っています。むしろ、この映画の方が「愛」がない分、より「死」に向かっているように思います。Facebook やチャットなどの現代のコニュニケーションツールや移民の問題が登場し、わかりにくくなっていますが、描かれ...
偏見や差別をはねのけることができるのは、やはり「愛」 この映画、アカデミー賞の13部門でノミネートされているそうですが、主演女優賞のサリー・ホーキンスさんは是非とも受賞してほしいですね。おそらく、彼女でなければ映画そのものがこの出来にはならなかったでしょう。もうひとり目立つのが悪役をやっているマイケル・シャノンさん、残念ながらノミネートされていませんが、こちらも賞...
欲望なき縺れ、殺意なき殺人 昨年2017年のカンヌで監督賞を受賞しています。 ソフィア・コッポラ監督の映画は、「ロスト・イン・トランスレーション」「マリー・アントワネット」「SOMEWHERE」と見ていますが、どれも(私には)全然ダメで良さが全くわかりません(ペコリ)。 今読み返してみて思う、その理由をひとことで言えばリアリティがないということかなと思いますが、...
ロッカーの中にあったもの、それはマリーナがマリーナであるためのもの むちゃくちゃ力強い映画です。最近やたら耳にする、特にオリンピックシーズンでしたので毎日のようにテレビから流れてくる「勇気をもらう」という言葉を(嫌いだけど)あえて使えば、これほど「勇気をもらえる」映画、そして人物はいないでしょう。映画の中では何も語られませんので詳しい性自認はわかりませんが、公式...