なんでもなさを映画にするミア・ハンセン=ラブ監督 ミア・ハンセン=ラブ監督の映画は一般公開されたものはすべて見ていますが、イングマール・ベルイマン好きだとは知りませんでした。随分映画の傾向が違いますのでなにがあるんだろうとインタビュー記事を読んでみましたら10年くらい前からだそうです。ハンセン=ラブ監督の映画が変わっていく兆しかもしれません。[to...
マイク・ミルズ、ホアキン・フェニックス、ウッディ・ノーマン マイク・ミルズ監督はプライベートなところから創作意欲がわく監督のようです。前作の「20センチュリー・ウーマン」では自身の母親、「人生はビギナーズ」では父親、そしてこの「カモン カモン」では自身の子育てをテーマに映画を撮っています。カモン カモン / 監督:マイク・ミルズ...
ウクライナ国境近くで起きた60年前の虐殺事件 東西冷戦下の1962年、ロシア(ソ連邦)南部のノボチェルカッスクという町で起きた虐殺事件を描いた映画です。この事件はソ連邦崩壊後の1990年代まで約30年間隠蔽されていたとのことです。監督はアンドレイ・コンチャロフスキー監督、現在84歳のロシアの監督です。名前を聞いて映画を思い出せる監督ではありませんが...
セックスというコミュニケーション ジャック・オーディアール監督は割と硬派な映画を撮る監督との印象を持っていましたので、結末にはちょっと驚きました。終わってみれば、え?今どきの日本映画じゃないの?!と思ったということです。パリ13区 / 監督:ジャック・オーディアール日本映画で言えば恋バナ映画4人の男女の恋愛話です。...
サスペンスタッチで描かれる高齢レズビアンの恋愛 2021年のセザール賞で新人監督賞受賞の映画です。監督のフィリッポ・メネゲッティさんは1980年生まれですので40歳くらいでの作品になります。公式サイトのプロフィールによりますと、主にイタリアで活動していたようですが2018年からフランスに拠点を移し、この「ふたつの部屋、ふたりの暮らし(DEUX)」が長編ビュ...
母と娘のクリーチャーホラー フィンランドのクリーチャー系ホラーです。クリーチャーものを好んで見ることはありませんが、フィンランド映画ということで挑戦してみました。フィンランドということに特に意味があるわけではなく、このところ劇場公開される海外の映画の製作国が英米仏あたりに偏っている気がしますので、そうじゃない映画を見ようと思ったということです。中南...
昭和ノスタルジーの人情噺で自身の昭和度を測る 重松清さんの小説『とんび』の映画化です。中心となっている時代が1960年代から2、30年間の話ですのでいつ書かれたものだろうとウィキペディアを見てみましたら2003年の新聞の連載小説でした。原作を読んでいませんので実際はどうかわかりませんが、映画は昭和ノスタルジーです。自分の昭和度をはかるにはいい映画で...
レオス・カラックス監督とスパークスによるロックオペラ 忘れた頃にやってくるレオス・カラックス監督です。「ポンヌフの恋人」までの三作は好きな映画ですので茶化しているわけではなく、そのアレックス三部作で監督としては燃え尽きたのかなと思っていましたら、8年後に「ポーラX」、次が13年後の「ホーリー・モーターズ」、そしてこの「アネット」が9年後の2021年です。...
暗殺者は身近な者の顔でやってくる 他人の体を乗っ取って殺人を犯す殺し屋の話です。監督はブランドン・クローネンバーグさん、その名前から想像できるとおり、デヴィッド・クローネンバーグ監督の息子さんです。1980年生まれですから42歳くらいということになります。私は見ていませんが、2013年に「アンチヴァイラル」という映画で長編デビューしています。この映...
あまりにも美しい、物語と、画と。そこから見えるもの 中川龍太郎監督は「演じる俳優」を撮るのが本当にうまいですね。この映画では岸井ゆきのさん、過去の映画では「四月の永い夢」の朝倉あきさん、「わたしは光をにぎっている」の松本穂香さん、前作の「静かな雨」は仲野太賀さんと衛藤美彩さん、どちらかといいますと女性の俳優さんがその物語の中の人物を演じているその姿を魅力的...
男でもない女でもないノンバイナリージェンダーの誕生か 昨年2021年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作です。「世界が驚愕、混乱、困惑」とか「完全に独創的、脳がブッ飛んだ」などの宣伝コピーが踊っていますので、無茶苦茶期待の映画です。TITANE/チタン / 監督:ジュリア・デュクルノー驚愕するよりも考えてしまう...
ブラッドリー・クーパーひとり舞台のやや残念な豪華キャスト 見ているようであまり見ていないギレルモ・デル・トロ監督、直近では「シェイプ・オブ・ウォーター」、さらに遡りますと「パンズ・ラビリンス」くらいです。この映画は、「アリー スター誕生」がとてもよかったブラッドリー・クーパーさん、「キャロル」以降名前をみれば見たくなるルーニー・マーラさんという名前...
原作とは違い、男たちの青春ものになってしまった(涙) 柴崎友香さんの『きょうのできごと、十年後』を読み、おもしろかったので、それがデビュー作の続編であることも知らなかったそのデビュー作『きょうのできごと』を読み、そのデビュー作が行定勲監督によって映画化されていることを知り、DVDで見てみました。きょうのできごと a day on ...
ケネス・ブラナー、郷愁のファミリーストーリー ケネス・ブラナー監督の自伝的な映画と言われています。同じ意味合いの映画ではアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」が思い出されますが、どちらもモノクロ映像です。やはりノスタルジーという感覚から考えれば当然の選択ということでしょうか。その「ROMA/ローマ」はかなり感傷的な映画でしたが、この「ベ...
超スローモーションのアクションシーンが唯一の見せ場 映画を見る際の選択肢のひとつにいろんな国の映画を見たいということがあります。残念がら最近はその希望もなかなか叶わなくなってきており、そろそろ配信ということも考えなくてはいけないかと思い始めているところなんですが、この「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、ナボット・パプシャド監督がイスラエルの方であり、前作の...
ジャネットのようにミュージカルにすべきだった? ブリュノ・デュモン監督がジャンヌ・ダルクの少女時代(12歳くらいから数年)を描いた「ジャネット」の続編です。その「ジャネット」はミュージカル仕様でしたが、こちらはうってかわって台詞劇です。ジャンヌ、ここは歌えよと思うところでも歌ってくれません(笑)。ジャンヌ / 監督:ブリュノ・デュ...
不完全なる映画から立ち昇るリアルなジャンヌ・ダルク なんとも奇妙な映画ですね。やっていることはわかるのですが、やろうとしていることがわからないという、つくり手の考えていることが不可解な映画です。ただ、この映画には「ジャンヌ」という続編があり、まだ見ていませんのでそれを見れば、その不可解さもちょっとは解けるかもしれません。ジ...
シュールな近未来か?アンチテクノロジーか? 予告編からはもっとシュールな映画を想像していたのですが、思いのほか感傷的で叙情的な映画でした。2020年のヴェネツィア映画祭のオリゾンティ部門で上映され、コンペティション部門の審査委員長のケイト・ブランシェットさんが評判を聞きつけて鑑賞し、エグゼクティブ・プロデューサーへの就任を買って出たという映画です。...
三つの時空の融合が中途半端で惜しい 率直なところ、始まって1/3あたりまではあまりの素人臭さに(感じたということでペコリ)なぜこれが劇場公開?とため息をこらえて見ていたのですが、後半の現代の写真館あたりからは、ん? そうでもないかと気を入れ直して見た映画です。いきなりこんな書き方でゴメン、問題は多いと思いますが悪くはないです。...
ジェシカも話も現実的なのに物語は不可解な映画 「ブンミおじさんの森」以来のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督です。相変わらずの誘眠(催眠)映画でした。MEMORIA メモリア / 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン予想に反してかなりリアルな世界「ブンミおじさんの森」しか見ていない上に細かいところはほとんど記憶...