遠藤周作「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化! 遠藤周作著『沈黙』中学生の頃に読み、涙が止まらなかったことを記憶しています。「踏み絵」のシーンは、もちろん映像的なものを見たわけではありませんが、不思議とイメージとして記憶しています。それだけ強い衝撃を受けたのではないかと思います。ただ、それ以外の細かいところはほとんど記憶していませんので、原作を読んで...
アウシュビッツ裁判につづくフリッツ・バウアーの前日譚 われわれ日本人って「日本の戦争」よりもナチスやヒトラーのことの方をよく知っているのではないかというくらいナチス関連の映画がよく公開されます。私も結構見ますが、何とも奇妙な状態です。ヒトラー本人を扱った映画、ホロコーストにかかわる悲劇的な映画などなどいろいろありますが、この映画は、終戦後のドイツでナチス残党を追...
別れの曲の歌付きとピアノ演奏、どちらもかなりレベルの高い生歌、生演奏です。 カナダ、ケベック州が舞台の映画です。モントリオールが州都かと思っていましたら、ケベック市という都市があるようです。カナダには英語圏とフランス語圏があるのは知っていたのですが、ケベック州は公用語がフランス語のみらしいです。この映画もフランス語です。修道院が経営している寄宿学校が舞台ですの...
悟った大人の映画というべきか? オタール・イオセリアーニ監督、前作の「汽車はふたたび故郷へ」を見ているのですが、あまりはっきり記憶していません。ジョージア(旧グルジア)出身の監督で、ウィキには「旧ソ連下で公開禁止であったため、1979年にフランスに移住」とあります。亡命ではなく移住なんですね。政治的迫害を受けていたということではないのでしょうか。作品も、1961...
ドン・チードル初監督作品にして、迫真の演技でマイルスに迫る タイトルは「マイルス・デイヴィス 空白の5年間」となっており、確かに1975年から5年くらいのブランクはあるようですが、内容は史実に基づいているわけではなく、ほとんどフィクションのようです。音楽ものというよりも、拳銃はぶっ放すわ、カーチェイスはあるわのアクションものの雰囲気です。監督は、「ホテル・ルワン...
煙草の煙が目にしみる。あの時代、その涙は哀愁だったが、今は怒り… 1995年のベルリンで銀熊、審査員特別賞を受賞した「SMOKE スモーク」のデジタルリマスター版によるリバイバル上映です。当時、結構ヒットしたようですが記憶にありませんので見ていないようです。製作に日本が入っているのは、井関惺(さとる)さんというプロデューサーが原作者のポール・オースターさんの大フ...
美しくも不可解な映像の連続、フランス発SF(?)ホラー これからこの映画を見ようと思われる方は、どんな内容かを知ってから見るべきだと思います。さもないと、???で終わってしまいます。 映画自体は謎ばかりなんですが、謎解き映画ではありませんので、物語を知って見たからといって失うものはありません。むしろ、どういうこと? などと考えなくてもよい分、細部に目がゆき、見落と...
大国に翻弄される小国エストニアの悲劇が根だけれども、それを抑えて静かに感動物語 2016年、最後の映画は静かなる感動物語でした。戦争はいろんな悲劇を生みますが、この映画は、第二次大戦中はドイツ占領下であったためにドイツ軍として戦い、終戦後はソ連に併合されたために、今度は追われる身となったエストニア人のフェンシング選手の話です。実話ベースの映画とのことです。...
台湾に生まれ台湾に育った日本人の物語。他人の記憶も追体験すれば涙 台湾が、日清戦争による清の敗北により日本に割譲されたのが1895年、日本の敗戦により蒋介石の国民政府の支配下となったのが1945年、その間50年、日本の統治下にあったわけですから当然といえば当然、台湾で生まれ育った日本人がたくさんいたんだということにあらためて気づかされました。約20万人とのことです。...
グリーグ、ドビュッシー、アルヴォ・ペルト、グレツキを聴きながらファッション雑誌を繰る テレンス・マリック監督、この監督くらい世間(ではなく業界?)の評価と自分の感覚にずれを感じる監督はいません。初期の「地獄の逃避行」「天国の日々」は40年くらい前の作品ですのでおいておいても、映画界復帰後の「シン・レッド・ライン」「ツリー・オブ・ライフ」など、金熊賞やパルム・ドール...
第二次大戦のちょっと違った視点ものだけど、意図的にタイトルにヒトラーを入れるのはやめて! マーチン・サントフリート監督が「本作で描かれているのは、デンマーク人のほとんどが目を背けてきて知られていない史実です。」と語っているように、少年兵であったかどうかは分かりませんが、捕虜のドイツ兵に地雷除去をさせたのは事実のようです。多分、ジュネーブ条約違反ですね。「俘虜の待...
夜景や暗い室内の撮り方が美しいですね 監督の半野喜弘さんは、「ホウ・シャオシェン、ジャ・ジャンクー…映画界の名匠たちを魅了してきた音楽家」と紹介されています。よく知りませんでしたが、確かに最近の映画では「山河ノスタルジア」にもクレジットされており、第52回金馬奨音楽賞ノミネートとあります。音楽としてはほとんど記憶していませんが、逆に言えば、それは劇伴という意味では...
舞台劇のほうが見たくなります。映画はちょっとばかり映画的に成りきらず。 ホームレスの話も、ジェントルマンの国では随分格式張った話になってしまいます。これがアメリカなら、もっとポップかロックな映画になるでしょうし、途上国であれば、子どもたちの話になるでしょう。との印象を持ったのですが、それもそのはず、これ、イギリスの劇作家アラン・ベネットさんの体験が元になっている舞...
自己中の男が自ら何も行動しないでいたら、うまくいったよ、ってか? 面白い映画です。 ヴィム・ヴェンダース監督、7年ぶりの劇映画です。7年ということは「パレルモ・シューティング」以来ということになり、その間、「Pina」や「もしも建物が話せたら」のドキュメンタリーを撮っています。この映画、公式サイトには「今作は 3D映画として撮影され、日本での上映には 2Dと 3D...
エレン・ペイジのアップになるたびに涙が流れて…。もちろんジュリアン・ムーアもいいのですが。 あ~、最初から最後まで涙が止まりませんでした。1リットルくらい出たかもしれません(笑)。ただ、単純に感動というわけではなく、とにかく細かいところでうまいんですよ。監督も、俳優も、もちろんジュリアン・ムーアもそうなんですが、ステイシーをやっているエレン・ペイジ、無茶苦茶いいで...
何をやろうとしたのかよく分からない、始めてはみたものの手に余ったって感じ。 ファンタジーものはあまり見ないのですが、「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督の映画ということで…、と言いながら、実は「ゴモラ」の印象もあまりないのに、一体何が気になったのしょう?原作となっているのは、17世紀にイタリアのジャンバティスタ・バジーレという人が書いた「ペンタメローネ」という民話...
イーサン・ホークの生歌もいけますが、さすが本人のはすごい! イーサン・ホークが、劇中、生歌で「My Funny Valentine」と「I've Never Been In Love Before」を歌っています。Youtubeで本人のものを聞いてみますと、さすがに、あらら…とは思いますが、映画の中では感動もし涙も流れます。Chet Baker - My Fun...
老いてもなお青春、友人の妻を思い、年若き女性に好かれたい願望 詩人で、翻訳や映画評論もされている福間健二さんの最新作、本人の詩集「秋の理由」が原作とのことです。福間健二さんの名前を知ったのは、佐藤泰志さんつながりだったように記憶しています。映画も初めてですし、詩も読んだことがありません。こちらが原作とされている詩ですね。映画「秋の理由」公式サイト/原作これが...
3つの時代の3組の恋人たちがひとつの物語を紡ぎ出す。「争い」「迷い」そして「許し」 1990年に始まり、その後10年にわたったユーゴスラビア紛争は、これまで幾度も映画になっていますし、多分これからも様々な視点からの映画が作られていくことでしょう。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソボ、マケドニア。それぞれその下に「紛争」がつくわけですが、遠く...
なぜこの映画を買い付けたの? 各映画館の上映作品欄を見ていましたら、なんだコレ? 世界の…果てまで…? ヒャ? ヒャ? ヒャッハー!? ヒャッハー??何じゃ、これ?と、結構おバカ映画好きな私としましては、マウスのスクロールも止まってしまったわけです。ふむ、ふむ…。「オシャレの国フランスで昨年公開され、興行収入2週連続No.1、8週連続Best10入りを果たす...