記事一覧

ディーパンの闘い/ジャック・オディアール監督

2016.02.17

た行,

残念ながら「預言者」的カタルシスに到達できず。昨年2015年のカンヌ、パルム・ドールです。受賞時、あまり芳しくない、つまりパルム・ドールに相応しくないといった話がネット上に上がっていましたが、どうなんでしょうか?まあ相応しい相応しくないということ自体にあまり意味がありませんので、要は自分が楽しめるかどうか、自分の眼を信頼するしかないのですが、最近では映画祭に出...

スザンヌ/カテル・キレヴェレ監督

2016.02.15

さ行,

フランス映画ウィーク/人が人生を振り返るに似た切なさが広がります2月13日からシネマテークで「フランス映画ウィーク」という企画ものをやっており、フランス映画祭などで上映された劇場未公開作品(かな?)を7本上映しています。最近は、こういうあまり入りそうもない(スミマセン)作品の公開が減ってきているような気がしますが、どうなんでしょう? そうでもないのかな?こうい...

俳優 亀岡拓次/横浜聡子監督

2016.02.08

は行,

本気で安田顕さんを主役で撮ろうとしたのか問いたいですね。横浜聡子監督、私の中ではかなり期待度の高い監督で、「ウルトラミラクルラブストーリー」以来、長編を待ち望んでいた監督です。短編では、「おばあちゃん女の子、真夜中からとびうつれ」を見ているのですが、もう4年前ですね。「ウルトラミラクルラブストーリー」からは8年です。まあ、映画を撮るのもそう簡単ではないとい...

最愛の子/ピーター・チャン監督

2016.02.04

さ行,

安易に情緒的な親子ものに走らず、社会的矛盾を重層的に描いていて好感が持てます。実際に起きた誘拐事件をもとに撮られた映画だそうです。確かに、エンドロールのバックで、モデルとなった実在の人たちと思われるカットか何枚か入っていました。切り替えも早かったですし、字幕を読んだりしているうちに、誰が誰とも理解できず、あの中に誘拐犯の妻にあたる人はいたのでしょうか?出演した...

エージェント・ウルトラ/ニマ・ヌリザデ監督

2016.02.01

あ行,

ジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートがうまくハマっていて面白かったです。コメディはあまり好きではないのですが、なぜか、ただひたすらおバカな映画は時にハマったりします。タイトルからしてそれ系の「エージェント・ウルトラ(American Ultra)」、見てみましたら、以外にも結構まじめに撮っているふうで、おバカ程度はさほどでもなかったのですが、それ...

愛しき人生のつくりかた/ジャン=ポール・ルーヴ監督

2016.01.28

あ行,

いかにもフランス映画らしい、くすっと笑えて楽しく見られる映画です。この映画を悪く言うことは、もちろんそんなつもりもありませんが(笑)、とても困難です。心に残る映画ではありませんが、気持よく見られますし、クスッと笑える、とてもいい映画です。「フランスで100万人を動員したロングランヒット作!」だそうです。確かに、実際のフランスは旅行者としてしか知りませんが、映画...

禁じられた歌声/アブデラマン・シサコ監督

2016.01.26

か行,

この映画に、我々がメディアを通して知る「イスラム国」を重ね合わせるのはどうなんだろう?と思うこの映画、昨年のフランス映画祭で上映されているようですが、このフランス映画祭というのは、ほとんどの作品が劇場公開されますね。逆ですかね? すでに配給のついている映画を集めているとか?まあ良い映画が多いのでどちらでもいいんですが、この「禁じられた歌声」は、セザール賞の最優...

ぐるりのこと。/橋口亮輔監督

2016.01.23

か行,

個人的には苦手な映画ではありますが、完成度は高く、劇場で見れば集中して見られたでしょう。「恋人たち」では、結構厳しいレビューを書いてしまいましたが、旧作を見てみたいと書いた通り、代表作(でいいのかな?)「ぐるりのこと。」を見てみました。ちなみに、「恋人たち」はキネ旬の2015年日本映画ベストテンの1位でした。で、ついでに外国映画のベストテンは何かなと見てみ...

消えた声が、その名を呼ぶ/ファティ・アキン監督

2016.01.20

か行,

これは愛、死、悪に関する三部作の最終章ではない。撮り直してとお願いしたい。ファティ・アキン監督、「愛より強く」から「ソウル・キッチン」までは続けざまに撮っていた印象があったのですが、ドキュメンタリーを一本撮っているとはいえ、この作品までには随分間があいています。それにわざわざ「愛、死、悪」の三部作と(多分本人が)位置づけての完結編とくれば、「愛より強く」も「そし...

四十九日のレシピ/タナダユキ監督

2016.01.14

さ行,

俳優でもっている映画、石橋蓮司、淡路恵子、二階堂ふみがいいです。相変わらず演出は過剰。見ようと思いリストアップしてあるDVD(Blu-ray)がなかなか消化できません。そのひとつ、タナダユキ監督の「四十九日のレシピ」です。この監督の作品は、「百万円と苦虫女」「ふがいない僕は空を見た」と、見た二本とも苦手な印象しか残っていないのですが、でもなぜか次の作品も見よう...

ひつじ村の兄弟/グリームル・ハゥコーナルソン監督

2016.01.10

は行,

「馬々と人間たち」は馬と人間が共存している感じがしましたが、これは羊を脇に置いた人間の映画ですね2015年のカンヌ「ある視点」部門のグランプリ作品です。同じ年、黒沢清監督の「岸辺の旅」が監督賞を受賞しています。ところで「ある視点」部門って何なんでしょう? ウィキには「1998年、若き才能を認め、フランス国内での配給を支援する補助金を提供することで、革新的で大胆な...

氷の花火 山口小夜子/松本貴子監督

2016.01.07

か行,

ある人物を撮る切り口はいろいろありますが、やや入門編的です。でも「山口小夜子」の歩く美しさには感動します。山口小夜子さん、そういえば亡くなられていましたね。多分ニュースでも報じられたんでしょうが、はっきりした記憶はありません。2007年ですから8年ですね。生前親交のあったという松本貴子監督が撮られたドキュメンタリーです。松本貴子監督のプロフィールにPFF入選とあ...

あの頃エッフェル塔の下で/アルノー・デプレシャン監督

2016.01.06

あ行,

3つの回想はともかく、ラストシーンは監督に自伝的な後悔の意識でもあるのかな…と思わせるわがままな映画でした2016年最初の映画は、2、3日前に見たアルノー・デプレシャン監督の「あの頃エッフェル塔の下で」です。アルノー・デプレシャン監督の映画は、「クリスマス・ストーリー」「ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して」を見た記憶では、こういう映画だ!というはっきりした印象...

神様なんかくそくらえ/ジョシュア&ベニー・サフディ監督

2015.12.28

か行,

淡々と、ジャンキーもホームレスもひとつの生き方だからという見方をすれば、まあいいか2014年ですから、一昨年ということになりますが、東京国際映画祭のグランプリです。さくら何とかとかいう賞はなくなって、「東京グランプリ」というのが正式名称なんでしょうか。いろいろ名前が変わったり、ロゴが変わったりするのは、そもそものコンセプトが変わるってことでしょうから、残念ながら...

アレノ/越川道夫監督

2015.12.25

あ行,

いわゆる男と女も、官能も、愛も、欲望も感じないけれど、山田真歩の生きてる感じが伝わってくる原作「テレーズ・ラカン」としてみれば物足りなさも感じますが、その設定をかりて、あるひとりの(現代)女性のとらえどころのない「生(存在)」そのものを描こうとしたと考えれば、結構いい感じだったと思います。考えてみれば、いまどき「テレーズ・ラカン」を真正面から攻めたところで二時...

独裁者と小さな孫/モフセン・マフマルバフ監督

2015.12.22

た行,

独裁者よりも反政府軍の不埒な振る舞いや暴力が目立つってのは復讐の連鎖とはちょっと違うんじゃないのモフセン・マフマルバフ監督、何か見ているのではと思って作品一覧を見てみても思い出せません。思い出せるのは、娘のハナ・マフマルバフ監督が撮った「子供の情景」の原題「ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた」が、モフセン監督の書簡集から取られていたことです。その本のタイトルが「アフ...

黄金のアデーレ 名画の帰還/サイモン・カーティス監督

2015.12.17

あ行, , おすすめ映画

ドラマづくりの旨さであっという間に引きずり込まれ、心地良い感動と歴史の再認識と「過去が現在に是正を求めている」弁護士ランドル・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)がウィーンでの調停(仲裁裁判)の場で述べる演説からの一節です。結構いい演説で心に残りました。クリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像(黄金のアデーレ)」が、ナチスによる略奪で違法にオー...

ディアーディアー/菊地健雄監督

2015.12.16

た行,

"その人柄と堅実な仕事ぶりから多くの映画監督に愛された"という監督の持ち味がよく出た映画だとは思いますが…ディア・ハンターならぬディア・ウォチャーとヒューマン・ウォチャーの内なる戦いのお話ですかね。といった話は後回しにして、「リョウモウシカ」ですが、本当にいるのかなと思ってググってみましたら(笑)、ヒットしたのが「両毛線 伊勢崎駅付近の線路...

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬/セバスチャン・ベベデール監督

2015.12.09

おすすめ映画, ま行,

これぞ(懐かしき)フランス映画!という感じがします。ちょっと笑える切なさと挑戦的試みと。これは素直に面白いです!主演のヴァンサン・マケーニュさんは、ギヨーム・ブラック監督の「女っ気なし」「遭難者」「やさしい人」、それにミア・ハンセン=ラヴ監督の「EDEN エデン」にも出ていましが、IMDbを見てみましたら、2013年辺りからすごい出演数ですね。「女っ気なし」で俳...

SAINT LAURENT サンローラン/ベルトラン・ボネロ監督

2015.12.08

おすすめ映画, 英数字, 英字

ワンカットごとの構図がきれい。ラストカットも秀逸!いいわ、これ。昨年公開された「イブ・サンローラン/ジャリル・レスペール監督」とほぼ同時期に製作されているんですね。日本での公開も同時にすれば相乗効果でより入ったのではないかと思います。まあ誰もが考えることですので、そうならなかった何か訳でもあるんでしょう。ただ、そちらの方は見ていませんので比べて何か書くことはで...