最新映画一覧

アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ

2022.06.16

あ行,

社会風刺も時にブーメランになる昨年2021年のベルリン映画祭の金熊受賞作です。この時、銀熊の審査員グランプリを受賞しているのが濱口竜介監督の「偶然と想像」です。1年前のことなのにコロナ(COVID-19)がどんな状況だったのかすっかり忘れてしまっています。日本は比較的落ち着いていましたが、ヨーロッパは大変な時期だったようでこの年のベルリンはオンラ...

さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について

2022.06.14

さ行,

ファビアン、あるいは堕落について『飛ぶ教室』『エーミールと探偵たち』『点子ちゃんとアントン』など、子ども向けの原作がよく映画化されるエーリッヒ・ケストナーさんの大人向けの作品『ファビアン あるモラリストの物語』の映画化です。主演は「コーヒーをめぐる冒険」「ピエロがお前を嘲笑う」のトム・シリングさん、「さよなら、アドルフ」のザスキア・ローゼンダール...

わたし達はおとな

2022.06.12

わん他,

かなり乱暴なつくり、日常的リアルの果てに…「今最も注目を浴びている演出家・劇作家の加藤拓也(公式サイト)」監督の長編デビュー作を見てきました。現在28歳の方で「劇団た組」の主宰者です。主演は「菊とギロチン」の木竜麻生さんと「のさりの島」の藤原季節さんです。わたし達はおとな / 監督:加藤拓也リアルさのその裏側に...

ドンバス

2022.06.09

た行,

映画は最強のプロパガンダ手段2022年の今ではドンバスやドネツクの地名も毎日のように耳にしますが、その地名をタイトルにしたこの映画の製作年は2018年です。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻(侵略)の4年前の映画です。皮肉なことですが、この戦争がなければこの映画が日本で劇場公開されていたかどうかわかりません。2018年のカンヌ映画祭...

君を想い、バスに乗る

2022.06.06

か行,

1300kmのローカルバスの旅、果たしてその目的は…公式サイトの宣伝コピーに「数々の映画祭での受賞・ノミネート歴を誇る名監督として評価されるギリーズ・マッキノン監督」というものがあり、え? まったく知らない監督だぁ…と過去のタイトルを見てみましたが、やはりどのタイトルも見た記憶のない監督でした。現在74歳、スコットランドの監督で「ウイスキーと2人...

ニューオーダー

2022.06.04

な行,

ディストピアではなく、起きてはいけないがこれが現実かミシェル・フランコ監督、「父の秘密」「或る終焉」「母という名の女」と見てきており、その名前をみれば必ず見ようと思う監督のひとりです。現在42歳、メキシコ出身の監督です。その三作ともカンヌで何らかの賞をとっていますし、この新作「ニューオーダー」も2020年のヴェネツィア映画祭で審査員グランプリの銀...

オフィサー・アンド・スパイ

2022.06.03

あ行,

フランスの反ユダヤ主義冤罪事件ドレフュス事件を描くロマン・ポランスキー監督、現在88歳、この「オフィサー・アンド・スパイ」は2019年製作ですから、撮っている時は84、5歳ということになります。2019年のヴェネツィア映画祭で銀獅子の審査員グランプリを受賞しています。1894年にフランスで起きた「ドレフュス事件」という冤罪事件を描いており、わざわ...

息子の面影

2022.06.02

ま行,

悪魔的な暴力が観念的な描写で多くは伝わらず映画には見る側にある一定程度の共通する現実意識がないとその良さが伝わってこないものがありますが、この映画もそのひとつです。2020年のサンダンス映画祭で観客賞と審査員特別賞を受賞しています。監督はメキシコのフェルナンダ・バラデスさん、現在40歳くらいの方で、この映画が長編デビュー作のようです。[t...

帰らない日曜日

2022.05.31

か行,

1924年のジェーンが現代女性のように描かれているイギリスの文学賞ブッカー賞を受賞している作家グレアム・スウィフトさんの『マザリング・サンデー』の映画化です。受賞している作品はこれではなく『ラスト・オーダー』です。今年2022年のブッカー賞には川上未映子さんの『へヴン』が最終候補作に残っていたんですが受賞は逃しています。日本人の受賞はまだひとりも...

トップガン マーヴェリック

2022.05.27

た行,

トム・クルーズは映画が映画でなくなった時代の最後の映画スターハリウッド超王道! 見事です。2時間10分、あっという間でした。空中シーンでは知らず知らずのうちに拳を握っている自分に気づきます。懐かしさを感じるのに古くない見事と書いておきながらなんですが、特にすごいところがあるわけではありません。物語はハリウッドの定...

明日になれば〜アフガニスタン、女たちの決断〜

2022.05.24

あ行,

妊娠や母性は選択肢であるべきアフガニスタン人(の表記は正確ではないが)によってアフガニスタン国内で2019年に製作された映画です。製作年が重要なのは、アフガニスタンは2021年8月15日にブッシュが始めた20年の戦争を経て再びタリバン政権に戻っているからです。監督のサハラ・カリミさんはタリバンが政権を掌握した直後にカブールを脱出しウクライナに逃れ...

シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~

2022.05.21

さ行,

MilitaryWives軍人の妻たちの合唱もの映画「フル・モンティ」のタイトルが目に入り、楽しく見たなあと思い出しながら、それ以降ピーター・カッタネオ監督の名前を見た記憶がありませんので一発屋かと思いましたら、テレビドラマをたくさん撮っている方でした(ペコリ)。シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~ / 監督:ピーター・カッ...

グロリアス 世界を動かした女たち

2022.05.17

か行,

今の日本は50年前のアメリカかも…グロリア・スタイネムさんという「女性解放運動のパイオニア(公式サイト)」といわれる女性の伝記的な映画です。英語版のウィキペディアでは「an American feminist journalist and social political activist(フェミニスト、ジャーナリスト、社会政治活動家)」となっています。...

流浪の月

2022.05.13

ら行,

文の非実在感は女の妄想か2020年の本屋大賞の凪良ゆう著『流浪の月』の映画化です。主演は広瀬すずさんと松坂桃李さん、共演は横浜流星さん、多部未華子さん、趣里さんといったところです。流浪の月 / 監督:李相日真実は誰にもわからない15年前の女児誘拐事件の加害者と被害者がその15年後に再会するという映画です。ただ映画...

ニトラム

2022.05.12

な行,

自閉スペクトラム症だとしたら、この描き方でいいのか?1996年4月28日にオーストラリアのタスマニア島で起きた無差別殺人事件を犯人である27歳の青年に焦点をあわせて描いています。ポートアーサー事件といい、死者35人、負傷者15人の被害者を出した大事件なんですが、日本でどう報道されていたのかも含め記憶にありません。ニトラム / 監...

マイ・ニューヨーク・ダイアリー

2022.05.10

ま行,

サリンジャーと過ごしたジョアンナ・ラコフさんの日々作家になることを目指す20代の女性がニューヨークの老舗出版エージェンシーのカリスマ上司の元で日々奮闘して成長していくという物語です。ジョアンナ・ラコフさんの自叙伝『サリンジャーと過ごした日々』が原作です。文学とファッションと業界は違いますが、「プラダを着た悪魔」もローレン・ワイズバーガーさんの体験...

マイスモールランド

2022.05.07

ま行,

難民問題というよりも17歳サーリャの絶望の物語日本で2020年に難民と認められたのは、難民申請した3,936人のうちわずか47人です(出入国在留管理庁2021/3/31発表による)。クルド人の家族、父親と子どもたち3人の物語です。父親は難民申請をしていますが不認定となり在留資格(言葉の使い方は正確ではない)を失います。子どもたちは日本で育ち、さら...

インフル病みのペトロフ家

2022.05.04

あ行, , 褒めてる映画

わけがわからなくても見ておくべき映画(だと思うけど…)この監督、天才だわ、と思った映画です。「LETO レト」を見ていますので、この映画の紹介文にそのタイトルを見て何の事前情報も入れずに見に行きましたら、ひっくり返りました(笑)。約2時間半の映画ですが、1時間ほどは、いやもっとかなあ、とにかくまったくついていけず、何をやっているのかさっぱりでした...

ツユクサ

2022.05.02

た行,

大人の女性のファンタジーに見えても、実は男の…安倍照雄さんという脚本家のオリジナルストーリーとのこと、平山秀幸監督とともに10年来温めてきた企画でもあるそうです。笑えもし見ていて楽しくなる大人のファンタジーです。ただ、ちょっと見方を変えますと、んー……という映画でもあります。ツユクサ / 監督:平山秀幸大人のしあ...

メイド・イン・バングラデシュ

2022.04.30

ま行,

先進国による途上国への労働搾取と男性による女性差別初めてバングラディシュの映画を見ました。ただ、この映画はバングラディシュ国内の制作環境で撮られた映画ではなさそうですし、映画のターゲットも国内ではなく欧米だと思います。IMDbのデータでは、映画祭にしろ一般公開にしろ、インドの映画祭を除いて欧米と日本での上映だけです。バングラディシュの映画事情に関...